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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その二十三

「そうしていました。彼等も衣食住が足りていれば」
「例え進出してもだな」
「まだです」
 十字軍や大航海時代の様にというのだ。
「残虐ではなかったでしょう」
「それだけ餓えて余裕がなかったか」
「餓えた獣は何にでも喰らいつきます」
 それこそ普段は食べない様なものまでだ。
「人も同じです」
「そうだな、人も然りだ」
 クリシュナータもそれを否定せずに答えた。
「人もまた餓えるとだ」
「何でも喰らいますね」
「質の悪い腐ったものでもな」
「そして腐ったものがなければ」
 それさえなければだ。
「靴も食おうとした」
「鋸の屑や木の破片まで」
「そうしていた」
 大航海時代の船乗り達だ、彼等は食べるものがなければまさにそうしたものまで食べて生きようとしていたのだ。
「そうだったな」
「はい、ですから」
「人も同じだな」
「そして人が集まって形成される国家も」
「余裕がないとか」
「徹底的に戦争をしてです」
「相手から武力で欲しいものを奪う」
 戦争の一つのパターンではある。
「そうなるな」
「はい、まさに」
「侵略だな」
「我々はおそらくそこまでせずに済みますが」
 他の知的生命体と遭遇してもというのだ。
「彼等との力関係や交渉次第で」
「友好的に対応してだな」
「大きな勢力なら同盟を結び」
「小さな勢力でもだな」
「最悪受け入れればいいです」
 他の知的生命体の社会をというのだ。
「そうすればいいです」
「一つ一つをだな」
「共存していけばいいです」
「あくまでだな」
「はい、平和にです」
 実際に穏やかに言ったジャバルだった。
「していけばいいのです」
「戦わずに済めばな」
「余計な血は流れず」
 それにだった。
「国力も使わずに済みます」
「それに越したことはないな」
「他の知的生命体との遭遇もです」
 この人類がこれから起こると常に予想し続けている言うならば最大の懸念事項もというのである。これは二十世紀からではある。
「人類は長い間考えてきました」
「そしてだな」
「あちらが好戦的な文明でなければ」
「共存は可能だな」
「そうした結論に至っています」
 それこそマヤやアステカの様に生贄を求めて戦争を行う様な文明でない限りはそれは可能だというのだ。
「普通は餓えていなければ」
「好戦的でもないな」
「人は生きる為に戦争をします」
 国家もまた然りだ。
「充分に生きられる環境ならば」
「最初からだな」
「戦争もしません」
 そうしたものだというのだ。
「あえて危険を冒さずとも生きていられるのですから」
「ならばそれでいいしな」
「バイキングもです」
 侵略者として有名な北欧の彼等もというのだ。
「何故侵略を行ったか」
「それはだな」
「はい、北欧は貧しい地域でした」
 欧州の中でもというのだ。 
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