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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その二十二

「人は衣食住が全て整っていればです」
「余裕が出来るな」
「そのうえではじめて礼節を知るとまで言われています」
 孔子の言葉だ、つまり生きられる様になってというのだ。
「そうなります」
「だからだな」
「我々には余裕があります」
「十字軍やアメリカ大陸征服の時とは違うな」
「余裕があればその文明が好戦的でもない限りは」
 そのケースは除くがというのだ。
「受け入れるでしょう」
「友好関係か」
「その国家の中にです」
「組み入れていくか」
「そうして共存していくでしょうが」
「国家連合の中の国家だな」
 クリシュナータはその組み入れ方についても述べた。
「それだな」
「はい、その形でです」
「その文明を取り込むか」
「連合は特に」
「成程な、我々や連合はか」
「ですがこれがです」
 マウリアや連合はともかくとして、というのだ。
「サハラやエウロパは」
「余裕がないな」
「我々よりは」
「それではだな」
「はい、攻めてです」
 そうしてというのだ。
「排除しようとするかも知れません」
「エウロパは前科があると言えるか」
「先程お話したですね」
「十字軍やアメリカ大陸征服だ」
 中南米へのだ。
「アフリカもだったな」
「帝国主義時代もまた」
「多くの植民地を手に入れたが」
「全ては搾取の為でした」
 受け入れるのではなくだ、そうしたというのだ。
「住民を奴隷化もしました」
「それを考えるとな」
「前科と言えますし」
「今のエウロパも余裕がない」
「はい」
 それ故にというのだ。
「あの国はです」
「若し他の文明と遭遇すればか」
「戦争になる可能性があります」
 そうなるかもとだ、ジャバルは言った。
「どういった文明でも」
「相手が小さく平和的でもか」
「余裕がないので」
 マウリアや連合の様なというのだ。
「ですから」
「十字軍や大航海時代以降の様にか」
「彼等は生きるか死ぬかでした」
 十字軍や大航海時代、そして帝国主義時代の時はというのだ。
「土地は痩せて寒冷な欧州においては」
「生きるか死ぬかでした」
「だから十字軍も殺戮の限りを尽くした」
「信仰が狂信と化したこともありますが」
 餓え、それもあったというのだ。
「彼等はそれこそ人を食ってでもです」
「生きねばならなかったな」
「現実に」
 実際に十字軍では食人もあったという、十字軍の兵士達はムスリム達を殺してその肉を食らっていたのだ。
「ですから殺していました」
「アステカやマヤでもな」
「異民族への殲滅は他にもありますが」
 それでもというのだ。
「彼等は生きる為にです」
「そうしてきたな」
「しかしこれは彼等が特別残虐だからではなく」
「生きる為にだな」
「余裕がなかったので」
 土地は痩せて寒冷な、つまり貧しい欧州にいたからだ。生きる為に一切の余裕がない状況だったかだというのだ。 
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