| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十五部第四章 慧眼その二十

「それは」
「はい、両者がいがみ合うことが必要で」
「一方がもう一方を降すことはな」
「なりません」 
 バランサーであるマウリアとしてはだ。
「それはです」
「だからだな」
「はい、何としてもです」
「その場合は連合を助けるか」
「連合にエウロパの情報を流します」
 今とは逆にというのだ。
「そうして連合に発展してもらいです」
「対立を続けてもらうな」
「そうなってもらいます、只でさえ連合がまとまりがないのです」
「今はそれが我々にいいことだがな」
「それがエウロパに付け込まれ征服までされるなら」
「問題だな」
「そのまとまりの悪さが深刻なネックにならないまでにです」
 つまり連合がエウロパに征服されないまでにというのだ。
「連合には強くなってもらわねばなりません」
「エウロパに対してだな」
「そこはバランスです」
 国際政治のそれだというのだ。
「まさに」
「バランスが崩れるとな」
「そこで乱れますので」
「そこは避けていくか」
「バランサーとして」
「連合が強過ぎるのもエウロパが強過ぎるのもか」
「結局は望ましくはないのです」
 ジャバルははっきりと言った。
「まさに政治はバランスなので」
「国際政治もな」
「エウロパについても然りです」
「バランスを崩す存在にはなってもらわない」
「そういうことです」
 こうクリシュナータに話した。
「今は今であり」
「未来は未来だな」
「その時それぞれの状況次第です」
「数百年先もだな」
「そこまでは人間では容易に想像出来ませんが」
 それでもというのだ。
「ある程度は予測してです」
「そうしてだな」
「政策を考えるのが本物の政治家ですね」
「最低の政治家は自分のことしか考えない
 まずはそうした政治家からだ、クリシュナータは話した。
「そうした政治家もいる」
「残念ながら何時でもどの国でも」
「このマウリアでもな」
「はい、しかし私はです」
「そうした輩でないのはわかる」
「自分のことなぞそれこそ手首を返す様なものです」
 ジャバルにとってはというのだ。
「所詮は」
「だからだな」
「自分のことしか考えないなぞ」
 政治家としてというのだ。
「この上なく下らないことです」
「そうだな、そしてその上はだ」
 最低の政治家の上はというと。
「自分の任期のことしか考えていない」
「政治を考えていても」
 国家のだ。
「それでもですね」
「近視眼的な政治家だ」
「数年の政治しか考えられない」
「こうした政治家も所詮な」
「器が小さいですね」
「そうだ、その上は十年単位となり」
 それだけの期間を考えて政治を考える政治家というのだ。
「百年となりな」
「その上にですね」
「数百年、君はまさにだ」
「数百年先の政治を考えている」
「それだけの政治家だ」
 ジャバル、彼はというのだ。
「今の発言でそれがわかった」
「そうですか」
「何よりだ、では数百年先の政治も考えてだ」
「そのうえで、ですね」
「政治をしてもらいたい」
「わかりました」
 ジャバルはクリシュナータのその言葉に確かな声で応えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧