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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その十九

「エウロパも発展させてです」
「ひいてはサハラもだな」
「それでいいですが」
「若し連合が他国を併呑しようとすればな」
「造作もないことです、まあ不穏分子を国内に抱えることになりますが」 
 武力で併呑された国々の者達がそれだ、侵略された国の市民が侵略した国に反感を持つのはよくあることだ。
「それでもです」
「可能なことは可能だな」
「はい、それ自体は」
「それはだな」
「連合の力では。むしろあの国は他国からの侵略を警戒しています」
 彼等の方がというのだ。
「自分達の豊かさを守る為に」
「エウロパに対しては三重の備えをしているな」
「回廊まで含めて」
 ガンタース要塞群、マラッカ回廊の要塞、そしてアタチュルク要塞群とだ。エウロパに対してはそうした備えで徹底して守っているのだ。
「これでもかという程」
「我々とサハラには堅固な防衛ラインを敷いている」
「国境に」
「明らかに攻める意志はないな」
「守ることを考えています」
「そして守りを固めてだな」
「彼等は発展にさらに勤しむつもりです」
 つまりより豊かになることを考えているのだ。
「内政と貿易により」
「連合の中でな」
「巨万の富を得てです」
「さらにだな」
「その万を億にしたいのです」
 連合としてはというのだ。
「ですから」
「我々自体はだな」
「どうでもいいのです」
 そうだというのだ。
「攻めて来なければ」
「エウロパも敵視はしているがな」
「外国、つまり外の世界ですから」
「関心はないか」
「彼等の中です、ですがその性質故に」
「他国の発展に気付かないこともだな」
「あります、そしてそれはです」
 連合が他国への無関心はというのだ。
「最悪帝国主義時代の様になります」
「あの時は欧州が世界を支配したが」
「他の地域はその発展を知りませんでした」
「知ったその時はだったな」
「侵略を受けた時でした」
 これは大航海時代からだ、欧州各国は圧倒的な技術特に軍事技術で他の地域を侵略し力をつけていき世界を主導する立場となったのだ。
「即ち手遅れでした」
「我々もそうだったしな」
「ムガール帝国は栄華を誇りましたが」
 インド、当時のマウリアを統一してだ。タージ=マハールの様な見事な建築物も残した。
「しかしです」
「徐々に浸食されてな」
「遂にはイギリスの植民地に堕ちました」
「数では圧倒していたが」
 人口そして軍の数でもだ。
「技術で大きく劣っていてな」
「敗北を重ねました」
「内部の分裂も利用されたが」
 そうした政治的な理由もイギリスのインド侵略の要因となっていた。マハラジャ同士の対立やヒンズー教徒とイスラム教徒の対立等だ。
「しかしだな」
「はい、やはりです」
「我々は彼等の発展を知らなかった」
「ですから」
「侵略を受けたな」
「欧州以外の地域が」
 その全てがというのだ。
「そうなりました」
「だからだな」
「今はエウロパの発展が望ましいですが」
 マウリアにとってはだ。
「しかしです」
「それでもだな」
「それが過ぎるとです」
「帝国主義時代になるからな」
「その場合は連合にはです」
「エウロパが望む様にはさせないことだな」
 つまり連合がエウロパの軍門に降ることだ。 
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