| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十五部第四章 慧眼その十五

「欧州でもそうだった」
「そしてマウリアでも」
「だから日本の皇室もですね」
「祭事を行っていた」
 明治から大戦までの皇室、そして三代の帝はというのだ。
「明治帝も昭和帝もな」
「特に昭和帝はそうでしたね」
「あの皇帝、天皇だな」
 クリシュナータはこう言い換えた、日本のそれに。
「欧州を歴訪して立憲君主制を見てな」
「立憲君主たらんとし」
「政治は内閣や議会が行うものとし」
「自身は祭事を受け持ちましたね」
「内閣や議会は祭事は行えない」
 政教分離に従ってだ、ただしこれは完全には分離していないのはこの時代においても変わってはいない。
「だが君主は違う」
「祭事を行いますね」
「だから昭和帝もそうしていた」
「昭和帝の祖父である明治帝も」
「そうしていたのだ」
 実際のところはというのだ。
「立憲君主としてな」
「そしてサハラの皇帝もですね」
「統一し国家が落ち着いたらな」
 その時からはというと。
「祭事、イスラムのそれにな」
「専念する様になりますか」
「あの宗教は聖職者はいないが」
「サハラ、イスラムの皇帝はスルタン=カリフなので」
「カリフはムハンマドの後継者だ」
 そしてアッラーの代理人とされている。
「その立場からだ」
「祭事を行いますね」
「そうなる筈だ、そして実際の政治はだ」
「内閣と議会がですね」
「行う様になるだろう」
 サハラはそうなっていくというのだ。
「やがては」
「そうでしょうね、私もです」
「そう見るな」
「はい」
 ジャバルはまたはっきりとした声で答えた。
「そうしかならないです」
「サハラはな」
「統一の後は」
「そしてです」
 さらに話したジャバルだった。
「国家の発展に専念するでしょう」
「我々の様にだな」
「戦争が続いていましたが」
「人類社会は発展を競い合う時代になるか」
「そうなっていくかと」
「平和なうえでだな」
「平和は平和ですが」
 それでもとだ、ジャバルはケーキを食べつつ言った。
「しかしです」
「激しい戦いがあるな」
「武力を用いない」
「政治や経済、諜報でのだな」
「様々な戦いがです」
 武力は用いないがそれ以外のものを駆使したというのだ。
「そうした戦いになります」
「そうしてだな」
「マウリアはその中で大きくなります」
「君の手によってだな」
「そうです」
 クリシュナータに不敵な笑みで応えた。
「間違いなく」
「ではそれを見せてもらおう」
 クリシュナータは確かな笑みで応えた。
「私はな」
「安心してご覧になって下さい」
「今の様に紅茶でも飲みながらだな」
「はい」
 即ち寛いでというのだ。
「そうして頂ければ」
「マウリアはこれまで只のバランサーでありだ」
「その発展はですね」
「穏やかなものだった」
 連合の急激な発展と比べるとだ、とはいっても停滞はしていなかった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧