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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その十四

「それでもだ」
「私はですね」
「彼等に匹敵する資質と野心がある、そして私は野心もだ」
「否定されないですが」
「野心がない政治家は駄目だ」
「求めるものが少ないので」
「だからよくはない、君主ならそれもいいだろうが」
 世襲制の国家の象徴ならばというのだ。
「だがな」
「大統領や国家主席はですね」
「共和制の国家元首はだ」
「自ら政治を行うので」
「野心がないとな」
 その目的を達成させる為にもというのだ。
「お話にならない」
「そうなりますね」
「そして魅力的でもない」
 野心的でない政治家はというのだ。
「政治家は聖人君子がやるものか」
「いえ」
 ジャバルはクリシュナータの今の言葉をすぐに否定した。
「そうではありません」
「そうだな」
「はい、政治家は有能な者がなります」
「政治についてな」
「聖人君子がなるものはです」
「宗教家だな」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。
「私もです」
「自分の資質に実力があるからだな」
「政治家になりましたし」
 それにというのだ。
「そしてです」
「さらにだな」
「多くの望むものを全てです」
「手に入れるな」
「野心を適え」
「それでいい、政治家は野心がありそれが国家の利益になるならだ」
「手に入れるべきですね」
 ジャバルはクリシュナータの言葉に確かな顔で応えた。
「そうあるべきですね」
「その通りだ、君主になるとな」
「今ではですね」
「今の君主は国家の象徴だ」
 為政者でなく、というのだ。
「サハラはそうした皇帝を目指している様だがな」
「皇帝を主権者とした」
「強力な中央集権制のな」
「立憲君主国を目指していますね」
「この場合瞑目的でもだ」
 それでもというのだ。
「皇帝は為政者となる」
「主権者であると共にですね」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「かつてのドイツ帝国や日本だな」
「皇帝が主権者であり為政者である立憲国家は」
「そうした国家もあるにはあるが」
「今では例外ですね」
「実際にサハラも落ち着くとな」
 国家として創業の段階から守成の段階になると、というのだ。
「その時はだ」
「皇帝が為政者といっても」
「実質的には象徴になる」
「その日本がそうでしたね」
「そうだった。明治からな」
 即ちそのはじまりからというのだ。
「国家の主権者であり為政者とされていたが」
「臣下である元老達に多くを委ね」
「自らは政治ではなくな」
「祭事を行っていましたね」
「元々祭事を行うのが君主だ」
 このことは古代ならば尚更だった、祭政一致の政治システムは古代国家では殆どがそうであり近代までもがそうだった。 
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