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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その十二

「生き神ではなく」
「神の転生だな」
「はい、現人神とは違います」
「またな」
「そうなります、彼等はまさにです」
「絶対神だったな」
「キリスト教の唯一神の如きでした」
 そこまでの絶対の信仰さえ集めようとしていたというのだ。
「宗教を否定しそのうえで」
「宗教に向けられる信仰も集めようとしていた」
「まさに宗教の変形、疑似宗教でしたが」
「君はそうしたものは求めていないな」
「私は人間です」
 ジャバルは自信をはっきりと言い切った。
「神の生まれ変わりでもありません」
「神性は全くないか」
「そうです、資質に絶対の自信はありますが」
 それでもというのだ。
「私は神ではありません」
「あくまで人間か」
「そうです」
 このことは変らないというのだ。
「信仰なぞ求めていません」
「求めているのは支持か」
「私の政策はマウリアの為のものです」
「だからマウリア国民にも支持されるか」
「私自身も。ですがそれは支持です」
 信仰ではないというのだ。
「若し私が愚かならです」
「支持はされないか」
「そうなります、ですから」
「神ではなく人間としてだな」
「ここにいてです」
「動いていくか」
「そう考えています、私は彼等とは違います」
 独裁者達、ヒトラーやスターリンとはというのだ。
「そして民主政治もです」
「壊すつもりはないか」
「君主になるつもりもありません」
「オクタヴィアヌスの様にか」
 初代ローマ皇帝だ、共和制を守ると言いつつ巧みに皇帝となった。とはいっても議会である元老院の存在は残しておいた。
「そうなるつもりもか」
「ありません」
「国家主席のままか」
「私が君主になりマウリアがよくなるか」
「それは違うか」
「そう考えますので」
 それ故にというのだ。
「民主政もその方がです」
「マウリアの為になるか」
「多くの意見が出てそこから選べまた新陳代謝も容易です」
 国家のそれもというのだ。
「選挙による政権交代が可能なので」
「だから民主政治はいいか」
「ですから民主政治も崩さずです」
「君主にもならずか」
「国家主席の権限は強めたいですが」
 それでもというのだ。
「君主の座に興味はありません」
「マウリアには藩王がある」
 クリシュナータはここでマウリアの君主の話もした。
「それぞれの星系の国家元首達だ」
「世襲制のですね」
「彼等が王だ」
 藩王つまりマハラジャを戴く星系があれば地方選挙で選ばれた知事がいる星系もある、また惑星や地域単位での藩王や知事も存在している。
「王の上に立つとなるとな」
「皇帝ですね」
「君は望めばおそらくだ」
「皇帝にもですね」
「なれると思うがな」
「そのオクタヴィアヌスの様に」
「そう思うがしかしだな」
 クリシュナータから言った、このことは。 
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