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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その十一

「さらに発展する」
「君の野心か」
「そうです、ヒトラーは欧州の覇者を目指しスターリンは共産主義の帝国を目指しましたが」 
 二十世紀を代表する独裁者である彼等はというのだ、この二人の名前はこの時代のマウリアでもよく知られているのだ。
「私は違います」
「マウリアを豊かにすることか」
「その為には戦争も必要ならしますが」
「それでもだな」
「あくまで必要ならです」
「不要なら求めないか」
「はい、そう考えています」
 クリシュナータに実に流暢に述べた。
「私は」
「そうか、君は覇権にも興味がないか」
「マウリアが豊かになるなら別ですが」
「そうでないならか」
「そんなものは考えていません」
 覇権もというのだ。
「先程申し上げた通り」
「そうなのか」
「そこが私が彼等と違うところです、そしてです」
「彼等は独裁者だったがな」
「私は独裁者にもです」
 その国家において絶対者になることもというのだ。
「興味はありません」
「民主政治は守るか」
「そう考えています、権限の拡大はしても」
 それでもというのだ。
「私は人間、人間ですから」
「神ではないな」
「ヒトラーやスターリンは神の如き存在でしたが」
「君は違うというのだな」
「そうです、人間ですから」
 神ならぬこの存在だからというのだ。
「絶対者ではないのですから」
「絶対者は神でもな」
「存在しません」
 ヒンズー教ではこうなっている、多くの神がブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの下にあるがこの三大神も失敗や敗北をしたりする。
「一神教はともかくとして」
「絶対はな」
「この世にはないのですから」
「自信はあろうともだな」
「はい、絶対はです」
 ないと言うのだった。
「やはり」
「ないものだな」
「独裁者は一神教の奇形かと」
「彼等はおおむね宗教を否定しているがな」
 それは彼等が無神論であったジャコバン派からはじまるからだ、フランス革命で生まれた急進的共和主義である彼等はこれまでの摂理の多くを否定し革命前に利益を貪っていたという教会即ち宗教も否定し理性崇拝を掲げ無神論をよしとしていたのだ。その彼等の頂点にいたのがロベスピエールであった。
「それは独裁、一党のそれでもな」
「邪魔でしたから」
「否定していたな」
「はい、そして信仰はです」
「独裁者に向かう様にしていたな」
「ヒトラー、そしてスターリンに」
「つまり彼等は現人神だったな」
 生き神とも言う、それは。
「その国の」
「そうなっていました、マウリアではこの世に神が出てもです」
「転生した姿だ」
「シャカにしてもラーマにしても」
 どちらもヴィシュヌ神の転生とされている、シャカがヴィシュヌの転生の一つなのでヒンズー教は仏教の一派にもなるのだ。 
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