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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その十

「私はそんなものは求めていません」
「君自身の栄誉もだな」
「私自身の栄誉なぞです」
 ジャバルはこのことについては実に素っ気なく述べた。
「それこそ手の平を返す様に」
「手に入るか」
「そうしたものです」
 クリシュナータに実に素気なく答えた。
「まさに」
「そうなのか」
「はい、ですからそうしたものはです」
「どうでもいいか」
「そう考えています」
「では目指すものはマウリアの繁栄か」
「二百倍もの国力差を縮めます」
 連合を基準にしての言葉だった。
「そうしていきます」
「どれ位にだ」
「まずは五十倍です」
「およそ四分の一にするか」
「そうしてです」
 そこで終わらずというのだ。
「さらに縮め」
「二十倍までにか」
「つまりマウリアの全市民が連合と同じだけの生活を送れる」
「そこまでするか」
「やはり国力差はあります」 
 それは歴然たるものだというのだ。
「連合と我々では人口が違います」
「今でもな」
「十三倍以上です」
 四兆と三千億、それだけの違いは確かにあった。
「それを縮めることはそれこそです」
「無理だな」
「人口は増えます、特に連合はです」
「ここにきてさらに増加しているな」
 その人口増加率がというのだ。
「そうなっているな」
「これまでは百年に二倍でしたが」 
 共働き夫婦への様々な扶助政策と多産の家族への特典等そうした諸政策によってだ。連合は人工を増加させてきたのだ。
「しかしです」
「それがさらに増えたな」
「百年で三倍になっています」
「四兆の人口がだ」
 百年後はというのだ。
「十二兆になると言われている」
「そしてさらに開発、開拓を進め」
「領土も増えてな」
「連合はさらに大きくなります」
「まさに銀河を掌握せんまでだ」
 今でも大半を領有しているがというのだ。
「そうなっているな」
「百年後は」
「そうだな、ではだ」
「はい、その人口差はどうしようもないですが」
「我々も人口を増やし」
「そして総合的な国力も深め」
 そうしてというのだ。
「必ずです」
「大国になるか」
「そう考えています」
 これがジャバルの夢だというのだ。
「マウリアの全国民が連合並になる様にしたいです」
「あの豊かな生活をか」
「全ての国民が」
「カーストに関係なくだな」
「そうです、カーストはあります」
 かく言うジャバルはアウトカースト出身だ、その立場からマウリアのあらゆることを考えているのは事実だ。
「しかしです」
「そのカーストに関わらずか」
「全てのマウリア国民が連合の様に暮らせ」
「そこまで豊かになっているマウリアをか」
「私は目指しています」
「連合並か」
「はい、そしてその豊かな国力で」
 それで以てというのだ。 
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