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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その三

「両国は手を結びました」
「そうだったな」
「そうしたこともあるので」
「連合とエウロパでもだな」
「若しかするとです」
「手を結ぶこともか」
「あります」
 そうだというのだ。
「その可能性は殆どなくとも」
「零ではないな」
「状況は常に変わります」
 国際情勢もまた然りというのだ。
「万物は流転しますね」
「まさにな」
「ですから政治も常に変わり」
「情勢次第ではか」
「連合とエウロパもです」
 千年来いがみ合ってきている両国もというのだ。
「若しかするとです」
「情勢次第でか」
「手を結びます」
「そしてことにあたるか」
「そのことはサハラかも他の脅威かも知れず」
「我々の場合もある」
 クリシュナータは紅茶、甘いミルクティーを飲みつつあえて言った。
「そうだな」
「はい、実際にです」
「その可能性もあるか」
「あらゆる事態を考えるのが世の常です」
「絶対はない、だな」
「物事には」
 まさにというのだ。
「そうしたものですね、現に私がです」
「今ここにいることもか」
「有り得ないと思われていましたが」
「アウトカースト層社会の復帰はな」
 マウリア社会に対してだ。
「それはな」
「そしてサハラの統一も」
「それもだな」
「どちらも有り得ないと思われていましたが」
「サハラは今統一されようとしていてだ」
 その誰もが有り得ないと思っていたことだ、アッディーンとシャイターンが出て来るまではである。
「そしてだ」
「我々もです」
「入ったな」
「ですから」
「この世に絶対はない」
「事態は常に変わるものですし」
 それでというのだ。
「どうなるかわかりません」
「だからあらゆる可能性を考えていくか」
「そして連合とエウロパが手を結ぼうとするなら」
 その時はというと。
「何があろうともです」
「妨害するか」
「はい、かつてソ連はそれで敗れています」
 二十世紀にロシアを基盤としてあったこの国はというと。
「アメリカと中国が手を結ぶか」
「そして自分達にあたるか」
「資本主義のアメリカと自国と対立していたとはいえ共産主義だった中国が手を結ぶか」
「イデオロギー的には有り得ないとだな」
「ソ連は考えていました、そして」
「他の国もだったな」
「有り得ないと思っていました」
 特にソ連がだ、そしてソ連と同じだけ日本も思っていた。
「ですがそれがです」
「両国は手を結んだな」
「そのソ連に対する為に」
「今でも両国は手を結ぶことがあるな」
「よく、そしてです」
「ことにあたっているな」
「対立することも多いですが」
「利害関係が一致すればな」
 その時はなのだ。
「普通に手を組んでいるな」
「それを見ますと」
「有り得ないことはない」
「はい、国際社会は特にシビアですから」
「利害が一致すればだな」
「手を結ぶなぞ普通です」
 それこそというのだ。 
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