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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その二

「一体」
「はい、今我々は連合とエウロパの間にいますね」
「バランサーとしてな」
「二国が三国になると」
「バランサーとして余計にか」
「コントロールが難しくなります」
 だからだというのだ。
「ですからサハラはです」
「存在自体が厄介か」
「はい」
 そうだというのだ。
「私はこう考えています」
「成程な、マウリアはバランサーとして生きていてだ」
「利益を得ています」
「だからだな」
「はい、サハラの動きも見て」
「そしてだな」
「バランサーとしてコントロールしなければなりません」
 だからだというのだ。
「サハラも、これまでは連合とエウロパだけでしたが」
「サハラと連合、サハラとエウロパもだな」
「見ていかねばならず」 
 そしてというのだ。
「我が国もです」
「各国との関係も考えてだな」
「そうです、やっていかねばならず」
「サハラとの関係もだな」
「考えていかねばならないので」
「厄介か」
「はい、ですから厄介です」 
 この国の存在自体がというのだ。
「そう考えています、二国から三国になるだけで難易度が上がります」
「外交もだな」
「ですから。下手をすれば三つ巴にもなります」
 連合、エウロパ、そしてサハラでというのだ。
「そうなりますが」
「それをどうコントロールするか」
「難しい問題です」
「何でもないという意見もあると思うが」
 クリシュナータはあえてこの見方を述べた。
「二国が三国になるだけだと」
「それに過ぎないとですね」
「そうも言えるが」
「その意見は違うでしょう」
 ジャバルはその見方をすぐに否定した。
「二国なら争うか手を結ぶだけです」
「その二国がだな」
「はい、しかし三国ならば」
「三国が互いに争う場合もあればだな」
「三つ巴もあれば」 
 その可能性もあるがというのだ。
「二国が手を結びです」
「残る一国に対するだな」
「そうもあります、ただ三国が手を結ぶことは」
「ないか」
「連合とエウロパの関係は極端です」
 つまり完全な敵対状態にあるというのだ。
「ですから」
「連合とエウロパが手を結ぶことはない」
「相当な情勢の変化がない限りは」
「ないな」
「はい、千年いがみ合ってきました」
「ハプスブルク家とヴァロワ家、ブルボン家の様にだな」
 かつての欧州の対立軸だ、神聖ローマ帝国とフランスの対立だ。尚イギリスは大抵神聖ローマ側についていた。何故ならこの国もフランスと対立していたからだ。
「そうなっていたな」
「はい、しかしです」
「この二国もやがて手を結んだな」
「プロイセンの勢力拡大を受けて」
 まさにそれによってだ。 
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