星河の覇皇
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第七十五部第四章 慧眼その一
慧眼
ジャバルもまたサハラの動静を見ていた、その彼に対して国家主席であるクリシュナータがサハラのこれからのことについて聞いた。
「君もサハラの動静は見ているな」
「はい」
その通りだとだ、ジャバルも応えた。二人は今は茶を飲んで話をしている。飲んでいるのはイギリス風のミルクティーでティーセットも一緒だ。
「そうしています」
「そしてそれがどうマウリアに影響するか」
「考えています」
「そうだな、サハラは統一されるな」
「間違いなく」
確実にとだ、ジャバルは言い切った。話をしながらそのうえでティーセットの下段のチョコレートケーキを食べた。中段にはシュークリーム上段にはビスケットがある。
「そうなります」
「やはりそうか」
「そしてです」
「サハラは発展するな」
「平和になり様々な産業が発展します」
「技術もだな」
「そちらは軍事技術を応用し連合からロートルの技術を買い」
連合から見ればそうだ、しかしサハラから見れば連合のそうした技術もハイテクとなっているのだ。
「そしてです」
「発展するか」
「内政も整い生産力も飛躍的に上昇し」
「サハラは豊かになるか」
「その生活はです」
まさにというのだ。
「どんどん豊かになります」
「戦乱の後は繁栄か」
「確実にです、ただ」
「それでもか」
「はい、サハラはまだ貧しいです」
「特に旧ハサン以外の場所はだな」
「旧ハサン王国領は確かに豊かです」
サハラ東方を掌握していたこの国はというのだ、実際にサハラで最も国力が高く豊かな国であったのだ。
「しかしそれ以外は」
「我々と比べてだな」
「相当に貧しいです」
「戦乱の結果だな」
「はい、その地域の発展が軌道に乗るには」
それまでにはというのだ。
「かなりの時間がかかりますし戦争を仕掛けるか」
「統一されたサハラがだな」
「そうなることもまずないです」
「我がマウリアとは領土や資源で問題もないしな」
「今度あるとすれば貿易摩擦位でしょうが」
「貿易摩擦はな」
「戦争の原因には殆どです」
そうなる可能性はというのだ。
「ないので」
「だからだな」
「サハラとは今後衝突してもです」
「武力にまで至る可能性はなく」
「特に恐れることはありません、ただ厄介なことがあります」
ここでこうも言ったジャバルだった、言いつつ蜂蜜を挟んでいてかなり甘いビスケットを食べてそれからティーを飲んだ。
「あの国の存在自体がです」
「あること自体がか」
「厄介です」
「それは何故だ」
クリシュナータはシュークリームを食べつつジャバルに問うた、どれもイギリスの菓子でありティーセットはイギリスの習慣だがその味はマウリア風のもので相当に甘いものになっていてそれを楽しんでいる。
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