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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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青葉、YouTuberになる。編
  ステイホームでも楽しく飲(や)ろう・1

 それは、とある思い付きから始まった。世界的に流行する感染症、抵抗力が強いとされている艦娘にさえ罹患すると判明したお陰で横須賀大本営をはじめ世界中で艦娘による作戦行動は制限される事となる。緊密な連携を必要とする艦娘達の作戦行動は、どうしても『密接・気密・密集』の三密を冒してしまう為だ。そんな世界的に澱んだ空気が漂う中、誰かが言い出したのだ。

『辛い時こそ明るくやるべきじゃない?』

 皆が暗くなりがちな時だからこそ、努めて明るく。誰が言い出したのかは定かではない。しかし、飲兵衛の掃き溜めのような鎮守であるからして、明るく騒ぐのは皆大好き。しかし密集は避けなくてはならない。ではどうするか?飲兵衛共は密集しなくとも明るく楽しく飲む方法を考えた。




「それでブルネイ鎮守府の公式チャンネルで、料理動画の配信か」

「その通りです!」

 そう言って胸を張るのは毎度お馴染み、鎮守府の広報担当・青葉だ。

「ま~た『愛のエプロン』じゃねぇだろうな?アレは上から差し止め喰らってるから出来んぞ」

「違いますよぉ!今回は『ステイホームでも手軽に美味しい晩酌を!』をテーマに、簡単でお酒が進んで、しかも美味しいお料理を日替わりで皆さんにご紹介してもらおうという企画です!」

「ほ~ん?中々いいんじゃねぇの?」

 企画のコンセプトを聞く限り、悪くはなさそうだ。

「動画の進行は青葉がやります。司令にもレギュラー出演して頂いて、ゲストさんとトークしつつお料理をしてもらいたいのです!」

「なぁ、それってあれじゃねぇか?T○Sの日曜深夜にやってる『巨匠』が出てくるーー」

「おっと司令、それ以上はいけませんよ!?またパクリだとか言われて放映差し止められたらどうすんですか!」

「……似てる自覚はあるのか」

「大丈夫です、似ていてもこれはパクリではなくオマージュ!そう、ちょ~っと参考にしただけなんですよ!」

「まぁ、とりあえずやってみるか」

「ハイ!では司令、1回目の動画は司令と青葉の2人での放送ですのでお料理の準備をお願いします!」

「あいよ。何か注文はあるか?」

「ん~……出来れば簡単に作れて、なおかつビールに合う奴をお願いします!」

「いやぁ、宅飲みで飲みやすいってやっぱビールじゃないですか?」

「まぁ、確かにな。了解了解」

 さて、何にするかな……。




        ~数日後~

青葉「ステイホームでも明るく元気に!」

提督「美味しく飲んで、明るく過ごそう!」

2人「楽しく飲(や)ろう~♪」

青葉「という訳で始まりました、ブルネイ鎮守府公式チャンネルがお送りします『楽しく飲ろう』でございます!」

提督「……なぁ、このタイトルコール毎回やんの?恥ずかしいんだが」

青葉「当たり前じゃないですか!」

提督「えぇ~……」

青葉「さて、気を取り直しまして。画面の前の皆様、世界的に大変なこの時期にいかがお過ごしでしょうか?なるべく他の人との接触を避けるために家で出来る仕事は家で、なんて人も多い事でしょう。出掛けたくても出掛けられない……そんなストレスの解消法といえば!皆さん、飲みましょう!」

提督「ストレートだなぁオイ」

青葉「そこで陰では『飲兵衛の掃き溜め』なんて不名誉な呼ばれ方をしている我が鎮守府としましては、皆様の楽しい飲兵衛ライフを少しでも楽しめるようにお手伝いがしたいな、と!」

提督「まぁ、日替わりで簡単に作れるツマミを紹介してく動画だ」

青葉「という事で記念すべき1回目のゲストは、これから青葉の相方となり、一緒にこの番組を盛り上げて下さる金城零ニ提督で~す!」

提督「ど~も、提督の金城です」

青葉「何を隠そう金城提督、鎮守府の中に自分のお店を持ってるんです!それも美味しいお酒とお料理の楽しめるBar!いや~毎晩楽しいお酒を提供して頂いてます!」

提督「そりゃ冥利に尽きるってもんだ」

青葉「ところで提督、今日紹介して貰えるお料理を教えてもらえますか?」

提督「今回は1発目だしな。材料1つに鍋1つ、それにちょっとした道具で出来るツマミを紹介してくぞ」

青葉「ほほぅ、その料理とは?」

提督「『空炒り昆布』だ」

《材料1つ鍋1つ!?空炒り昆布》
(準備するもの)

・出汁昆布:食べたいだけ

・厚手の鍋

・キッチンタイマー

・菜箸かトング(トングの方がオススメ)

青葉「では早速作って行きましょう!まずは何をすれば良いですか?」

提督「まずは昆布を……そうだな、都こんぶ位の大きさに切る」つキッチンばさみ

青葉「およ?そのまんまじゃダメなんです?」

提督「大きいままだと仕上がりにムラが出来るし、何より食べにくいからな。食べやすい大きさに切る」チョキチョキ

青葉「ほうほう。切れたらお次は?」チョキチョキ

提督「重ならないように鍋に並べる」

青葉「ほうほう。そしてそして?」

提督「鍋を火にかける。火加減は消えるか消えないかギリギリのとろ火だ」

青葉「成る程」

提督「そうしてタイマーを10分にセットして……スタートしたら放置する」

青葉「へっ?引っくり返したりは?」

提督「しないぞ?10分経つまでは。そうしないとしっかり乾かないからな」

青葉「ら、楽ですねぇ」

提督「これは天日干しだけじゃ抜けきらない昆布の水分を飛ばして、旨味と塩気を濃縮しつつパリパリとした歯応えを出す為の工程だからな。下手な手出しは逆に失敗の元だ」

青葉「では、10分待つ間はトークタイムです!」

        ~10分後~

青葉「10分経ちましたね!お次は?」

提督「昆布を引っくり返して、また10分放置だ」

青葉「ま、また10分待つんですか……」

提督「まぁ、家でやる場合は洗い物するとか部屋の片付けするとか……多少離れてても大丈夫だからな、これは」

※ただし、タイマーが鳴ってもほったらかしにしておくと流石に焦げます。注意しましょう。

青葉「でも流石にあと10分トークで繋ぐのは青葉でもキツいですねぇ」アセアセ

提督「なら、視聴者とかに質問とか募集すりゃいいんじゃね?」

青葉「お、良いですねぇそれ。いただきです!」 

青葉「という事でこの番組では、皆さんからのご意見・ご質問を募集しちゃいます!詳しくは公式Twitterの方へ」

提督「出来る限りは答えるぜ」

青葉「お待ちしてま~す♪」

         ~更に10分後~

青葉「さて、出来上がりですね!」

提督「おう、粗熱が取れて手で持てるようになれば完成だ」

青葉「では、その間にお飲み物を準備しましょう!」

      ~運ばれてくる缶ビール~

提督「良いねぇ、キンッキンに冷えてやがる」

青葉「昆布の方も冷めたみたいですね。では早速、実食タイムです!」プシュッ

提督「うっし、飲むか」プシュッ

2人「かんぱ~い!」カツン

2人「…………」グビグビ←飲むのに夢中で暫し無言

2人「あ゛~っ、美味っ!」

青葉「って、ビールだけ飲んじゃってどうするんですか!大事なのはツマミ!ツマミの食レポですよ!?」

提督「え~、だってお前だってグビグビ美味そうに飲んでたじゃん」

青葉「あ、アレはつい……クセで」アハハ

提督「それより、早く食ってみろよ。美味いから」

青葉「そうですね、では早速……ん!これ凄いパリッパリですよ!それに昆布の旨味と塩気がちゃんと利いてて!」グビグビ

青葉「っぷはぁ~!こんなのビールに合わない訳が無いですよ!反則ですよ反則!」

提督「だろ~?」ニヤニヤ&ドヤァ

青葉「これならビール以外でも日本酒とか焼酎とかにも良さそうですね」

提督「意外とウィスキーのロックとかにも合うぞ?シンプルな味だから酒を立ててくれる」

青葉「うわっ、それ絶対合いますよ!今度司令のお店に行ったら頼みますね!」

提督「いや作り方教えたんだから自分で作れや」

青葉「おっとそろそろお時間ですね!それではまた次回、ばいば~い!」

提督「おい、誤魔化すなこの野郎」
 
 

 
後書き
元々は本編の方に掲載した話ですが、内容的にこっちの方が良いと判断し此方に移動しました。 
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