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星河の覇皇

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第七十五部第二章 開戦直前その十七

 アッディーンはアリーと近衛艦隊と共に国境に向かっていた。彼等は迅速に動いていた。だが。
 シャイターンはシャハラザードから彼等の動きを見つつだ、こう言った。
「やはり同時か」
「はい、国境への到着は」
「そうなるかと」
「我々が到着するのとほぼ同時にです」
「アッディーン大統領も到着されます」
 シャイターンの幕僚達も言ってきた。
「そしてですね」
「ほぼ同時にですね」
「宣戦布告が為されますね」
「共に」
「艦隊は迅速に動きだ」
 シャイターンは実際にそう動かしている。
「ルートは整備してきたが」
「艦隊が動きやすい様に」
「ワープも駆使してきましたし」
「それでもですね」
「それは相手も同じで」
「そのせいで」
「ほぼ同時か」
 シャイターンとしては機先を制したいという気持ちもあった、戦いも先んずれば人を制すだからだ。
「だがこれもだ」
「これも?」
「これもといいますと」
「予想されたことでな」
 微笑みもしてだ、シャイターンは己の椅子から言った。まだ玉座ではなく主席用の椅子である。
「そうでなくてはとも思う」
「アッディーン大統領ではない」
「そう言われますか」
「ここで遅れては」
「そうだというのですね」
「そうだ、彼は傑物だ」
 こう評するのだった。
「それも私と並ぶな」
「それだけにですか」
「遅れはせず」
「そしてですか」
「そのうえで閣下と戦われますか」
「そうだ、ここで遅れるならだ」
 それこそというのだ。
「私に比肩する将、英傑ではない」
「ではですね」
「ほぼ同時に戦線布告をされ」
「そうしてですね」
「戦いに入られる」
「そうなられるのですね」
「そうだ、そして私が勝つ」
 シャイターンは自ら言った。
「そうなる、だが国力も兵力も我々の方が劣勢だな」
「残念ながら」
「サハラ全体を百とすれば我々は三十五です」
「オムダーマンは六十五です」
「倍近く開いています」
「その倍近くは大きい」
 実にというのだ。
「覆そうと思えばな」
「容易ではありませんね」
「どうしても」
「そうですね」
「そうだ、しかしだ」
 それでもというのだ。
「我々は勝つ」
「そのオムダーマンにですね」
「勝ちますね」
「そうしてみせますね」
「そうだ」
 その通りだというのだ。
「我々はな」
「主力は防衛ラインから出ず」
「そうして守り」
「閣下ご自身はですね」
「アッディーン大統領と戦われる」
「そうされますね」
「そうする、だがここで大事なのはだ」
 それはというと。 
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