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星河の覇皇

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第七十五部第二章 開戦直前その十八

「この世の中は何があるかわからないな」
「はい、絶対はなく」
「この世はまことにです」
「何時何が起こるかわかりません」
「人に先はわかりません」
「万全の陣形を組んでいてもだ」
 それでもというのだ。
「突如として気候が変わってその陣形が崩れてだ」
「敗れた軍もありましたね」
「それは宇宙でも同じですね」
「突如として宇宙潮流の流れが変わったり」
「隕石嵐が起こったりして」
「そうだった、惑星では地震や台風でだ」
 そうしたことが突如と起こってだ。
「状況が変わり敗れた事例も多い」
「その通りです」
「ペストで戦争が中断になったこともあります」
 百年戦争のことだ、途中それで中断になったこともあるのだ。
「そして台風に航空機が巻き込まれたこともあります」
「艦隊も」
「政治でもあった」
 戦争は政治の一手段なのでシャイターンはこちらの話もした。
「災害で側近を失い力を失った者もいる」
「思わぬ災厄で」
「そうなった事例もありますね」
「確かに」
「こうしたことは人の及ぶ力ではない」
 緒戦はとだ、シャイターンは言った。
「私も人に過ぎないのだからな」
「そして人ならばですね」
「出来ることに限りがある」
「左様ですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「私は確かに英傑だが」
「人であり」
「それ以上の存在ではない」
「そうしたものですね」
「人の力は限られている」
 そして小さいものだ、イスラムの考えである。
「それで予測出来ることもだ」
「限られていて」
「そしてですね」
「そうした不慮のことには」
「そのことには」
「どうしようもない、そうしたことは全てアッラーの御手の中にある」
 神の裁量の中にあるというのだ。
「私ではどうしようも出来ない」
「そしてその時は」
「宇宙の気候等で思わぬ事態が起こった時は」
「それが我々にとって不利ならば」
「その場合については」
「天命だ」
 それになるというのだ。
「諦めるしかない、これでもある程度の備えはしているがな」
「その気候についても」
「宇宙のそれについても」
「左様ですね」
「そうだ、考えられる事態全てに対応する」
 それこそがというのだ。
「人がすべきことだが」
「それでもですね」
「それ以上のことが起こるかも知れない」
「それがアッラーの御手ですね」
「それによって為されることですね」
「そうだ、若しそれで勝てればいいが」
 まずはこのケースから話した。
「しかし敗れる場合もある」 
「勝負はアッラーの御手の中にあり」
「そしてですね」
「そこから逸脱することはない」
「決して」
「そうだ、そのアッラーの為されることならだ」 
 シャイターンも敬虔なムスリムだ、好色で贅沢を好むがその信仰は誰もが認めることである。 
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