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真・恋姫†無双 守る為の戦い

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董卓軍との一日

 
前書き
董卓軍内での一日です。では宜しくお願いします。 

 
「そらそら、どうしたんや剛鬼!」

現在俺は、張遼と模擬戦中。理由は朝賈駆に、こう言われたからだ。

「働かざる者食うべからず。此所では、無駄飯を食べさせるようなことはしないから、しっかり働いてもらうわよ」

などと言われて、武官になる為の試験をすると言われ現在に至る。

「避けてばっかじゃ勝てへんで!」

今のところ、張遼の攻撃は全て避け続けている。神速の、張遼と言われるだけのことはあり、かなり速い堰月刀の突きだ。

「ふむ、お前の実力は分かった」

「なっ! んなアホな!」

繰り出された突きを、当たる前に棒の部分を掴み取り、同時に堰月刀を張遼ごと上に持ち上げる。

「秘技・人間竹トンボ」

そしてそのまま、棒の部分を両手で持ち凄まじい速さで回す。

「うわー! 剛鬼止めてくれー! 目が回るー!」

棒の先端を握っている張遼は、当然手を離す訳にはいかず、てっぺんでぐるぐる回っている。

「さて、どのくらい飛ぶかな?」

回しながら、そのまま力一杯両手を離して飛ばしてみたのだが、やはり竹トンボとは違い数秒後に地面に落下していた。

「目が回るー。頭が世界がぐるぐる回っとるー」

落下した張遼は、目を文字通りぐるぐる回したまま、仰向けで堰月刀を持ったまま倒れている。

「さて、こんなもんで模擬戦は終わりでいいか?」

見ていた賈駆にそう告げる。ぶっちゃけ、もう終わってほしいだけ何だが。

「あ、アンタってこんなに強かったの?」

賈駆が目をパチパチしながら俺を見る。大方、あっさり俺が負けるとでも思っていたのだろうか?

「霞を倒した実力なら充分ね。もういいわよ」

よし、終わったならさっさと寝よう。 ……しかしそうは問屋がおろさなかった。

「待て! まだ私が残っているぞ!」

朝起きた時に紹介された、銀髪のいかにも猪みたいな感じの女、確か名は華雄だったな。

「また、人間竹トンボになりたい奴が現れたか。やれやれだぜ」

両手をひらひらさせ、華雄にそう告げると華雄は戦斧を構える。

「私を霞と同じだと思うな!」

振り下ろされる一撃。しかしそれは、虚しく地面に穴をあけただけで終わった。パワーは張遼以上、しかしスピードは張遼に劣るな。

「張遼とは違うパワータイプか。しかしその程度か?」

一撃を軽く避け、華雄にそう告げると華雄の顔は、みるみる赤し戦斧を再度構え俺を睨む。

「私を嘗めるな!」

華雄は横一線に戦斧を振るが、問題なくしゃがんで回避する。重い一撃だろうが、必殺の一撃だろうと当たらなければ意味はない。

「どうした、そんなもんか。お前の実力は?」

真っ直ぐ華雄を見ながら尋ねる。コイツは挑発したら、直ぐにムキになって猪になるタイプだろうからな。

「き、貴様! この私を侮辱してただで済むと思うな!」

「鉄塊」

鉄と鉄が、ぶつかったような音が響いたが、華雄の一撃を鉄塊で止める。

「何!? 私は本気で振り下ろした筈。何故貴様は傷一つなく立っている!?」

華雄の目に見えたのは、明らかな動揺。自分の本気の一撃を、特にガードもせず受け止め更に無傷であることに対する動揺だろう。

目には見えないが、実際は体の防御力を氣で鉄の硬度にまで高めて、防いでいるのだがな。

「どうした。さっきまでの威勢は何処に行ったんだ?」

その動揺を見逃さず、戦斧を両手で掴み華雄も霞と同じように持ち上げる。

「く、私はそんなに簡単に目など回さん!」

俺を睨みながら、華雄はそう告げる。だが、生憎今回は竹トンボではない。

「秘技・人間ハンマー投げ」

戦斧を持ったまま、体を回し始める。

「く、決して目など回すものか!」

華雄は何とか耐えているようだが、甘い甘過ぎる! 次に何をされるのか考えねば勝てんぞ。

「さて、まぁ死にはしないだろうが!」

そのまま力の限り、戦斧ごと華雄を見事に真っ直ぐぶん投げてやった。

「な、なにぃぃぃ!」

大声をあげながら、そのまま華雄は真っ直ぐ飛んで行き星になった。……これは完全に、本気で投げてしまったな

「いけない。力一杯投げてしまった」

華雄を、投げ飛ばした方向を見ながらそう呟く。どうも師匠曰く、どうでもいい時に本気になってしまうな。

「何と言うか、アンタ出鱈目ね。それに本気でやってないみたいだし」

賈駆は、呆然と俺を見ながらそう呟く。やっぱり本気でやってないとバレるか。てかどう考えても、まともに戦ってるようには見えないか。

「さて、まぁこんな感じだが合格かな?」

「合格よ。……こんな光景見せられて、不合格何て言えないわよ」

ハァと溜め息を吐きながら、賈駆は俺にそう告げる。何故溜め息を吐くのか分からないが、とりあえず武官にはなれそうだ。

「…………剛鬼、見つけた」

恋の声が、後ろから聞こえたかと思った数秒後、背中に柔らかい感触と重みを感じた。うむ、こんなこと言っては何だが中々にいい感触だ。

「やぁ恋。俺に何か用か?」

背中に抱きついている恋を降ろし、後ろを向いて恋に尋ねる。

「…………特に用はない。剛鬼の傍に居たかったから」

俺の傍ねぇ。
実際言われてみると、中々嬉しいものだな。
などと思いながら、恋の頭を優しく撫でてみると、恋は気持ちよさそうに目を細めた。

「アンタ、本当に恋と仲がいいのね。正直、こんなになついてる恋は初めて見たわ」

顎に左手を置きながら、賈駆は俺と恋を見ながらそう呟く。ふむ、まぁ仲がいいと言われれば確かにそうだな。というかなついてるって、動物じゃないんだからそういうこと言うなよ。

「ちぃぃん!」

何やら上から殺意を感じるな。この感じからすると、相当な殺意の予感だ。しかし、殺意向けられる奴何か居たか?

「きゅぅぅう!」

かなり近付いて来ているな。呑気にそんなことを思いながら、殺意の感じる上を見てみると。

「キィィック!」

帽子を被った、黄緑色の髪をした少女が、上空より飛び蹴り状態で俺に迫ってきていた。凄いな、どうやって高くジャンプしたんだか。

「ほう、奇襲か? だが甘い」

俺を蹴ろうとしていた、右足を掴み取りそのまま逆さづりの状態にしてやった。悪い子には、昔からお仕置きが必要だからな。

「うぅ、離せなのです!」

少女は、俺の手から離れようと暴れ出すが、俺相手には全く意味がないことだ。

「何だ? いきなり人を蹴ろうとして、言う言葉はないのか?」

逆さまの少女の顔を見ながら、少女にそう告げる。しかし、少女は尚も俺を睨んで手から逃れようと暴れている。ずっと暴れてて、逃げられないんだからいい加減諦めろよ。

「恋殿に触れた、お前が悪いのです!」

暴れながら、少女は俺にそう告げる。 ……触れたから悪いって、どんな理不尽だよ。まぁ確かに、触れてはいけないとことかも触れたりしたけどよ。

「えぇと、確か名前は一休だったか?」

朝華雄と一緒に名前を聞いたが、確かこんな名前だった気がする。

「音々は陳宮なのです! 名前を間違えるななのです!」

あぁ、あの有名な軍師陳宮か。 ……ふむ、それにしても賈駆と比べると随分小さい軍師だな。見た目とか、まんま餓鬼だしよ。

「今、失礼なことを考えた目をしてたなのです!?」

うむ、こんなに小さいのに既に人の心が読めるほどの奴なのか? やはりこの世界、かなり興味深いと言えよう。

「…………音々……め」

恋が陳宮の前に来ると、陳宮の頭に手をコツンと当てた。 ……恋がこの子の、保護者のように見えるのは、俺だけだろうか?

「れ、恋殿。音々は悪くないのです! 恋殿に気安く触っていたコイツを、音々は成敗しようとしたのです」

何故に、頭を撫でただけで成敗などされねばならんのだ? そんなのは、理不尽以外のなにものでもない。

「…………音々」

「わ、分かったのです恋殿。ごめんなのです」

逆さづりの状態で、ペコりと俺に頭を下げる陳宮。恋の言うことだけは、素直に聞くみたいだな。

「しょうがない、恋に免じて許してやろう。もう馬鹿なことはするな」

足から手を離して、下に降ろしてやると上手く着地出来ず尻餅をついた陳宮。直ぐに立ち上がると、俺から距離を取った。

「絶対にお前に、陳宮キックを当ててやるのです! 覚えておけなのです!」

俺にそう告げた後、陳宮は走って何処かに行ってしまった。……また懲りずに来そうだな、あの様子だと。

「気をつけなさいよ剛鬼、アイツは恋大好きっ子だから、些細なことで噛み付いてくるわよ」

「まだまだ餓鬼ってことか。まぁ、一応注意はするが何の問題もないさ」

敵意と殺意むき出しの蹴りなどに、恐怖などする俺ではない。

しかし、それに当たったところで痛くなさそうだが、毎回あんなことされたら面倒くさそうだな。

「剛鬼さんに詠ちゃんに恋さん、こんにちは」

陳宮の対処方法を考えようと思ったら、董卓が俺達の所に来た。
「…………こんにちは月」

「ようこんにちは」

普通に返す俺と恋だが、一人だけ違った。

「月! こんな所にどうしたの。 何か緊急事態でもあったの!?」

賈駆よ、董卓が来ただけでどう考えても騒ぎ過ぎだろう。

「何にもないよ詠ちゃん、剛鬼さんの模擬戦を見に来ただけだから」

微笑みながら、賈駆にそう告げる董卓。もうこの反応に慣れているのだろうが、賈駆はちょっと心配し過ぎのとこがないか?

「ならよかったわ。でも月、もう剛鬼の模擬戦は終わっちゃったんだけど」

「そうなの?」

賈駆にそう告げられ、ガッカリした顔をする董卓だが、そんなに俺の模擬戦が見たかったのだろうか?

「ゆ、月。そんなにガッカリしないでよ。何なら恋と模擬戦させる?」

「…………恋は構わない」

「いや、それは……」

恋は別にいいみたいだが、俺は流石に疲れそうだからやりたくないんだがな。

それに恋は、張遼と華雄相手にした時みたいにやったら、怒って俺に詰め寄って来そうな気がするし。

「何よ剛鬼、別に疲れてる訳じゃないんだからいいでしょ?」

「詠ちゃん、無理言って剛鬼さんに迷惑かけちゃダメだよ」

賈駆にそう言ってくれる董卓だが、性格的に賈駆に押しきられそうな感じしかしない。

「もう分かったわよ月。……剛鬼、今日はもういいわよ」

無茶苦茶、納得してない顔で言ってるな。まぁ何にせよ、董卓のおかげで何とかなったな。

「じゃあ俺は、その辺ぶらぶらするからまたな」

手を振って歩き出す。行く所の予定は特にないが、街の観察でもしてみるとしよう。

「…………恋も行く」

恋が後ろから走ってきて、俺の右手を握る。財布の中身は大丈夫だから、問題はないだろう。

「恋はもう仕事はないのか?」

「…………(コクッ)ない。だから剛鬼と一緒に行く」

嬉しそうな顔で俺を見る恋、全く嬉しい事言ってくれるな。しかし、もうすぐでかい戦いがおこる。俺はどうするべきだろうか?

「何て、考えるまでもないか」

「…………? 剛鬼、どうかした?」

いきなり意味が分からないことを言った俺を、恋は見つめている。俺の答えなどもう決まっている。

「何でもない。行くぞ」

「…………(コクッ)」

恋の手を引きながら歩き出す。答えは…………もう決まっている、俺は守る為に戦うまでだ。俺はそう決心し前を向いた。 
 

 
後書き
次回は黄巾党戦を予定しています。ではまた次回。 
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