| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百六十話 国民の持病その十一

「そうなんだよね」
「不自由ね」
「何でそうした決まりになってるんだよね」
「それで間違えて食べると」
「確信犯でも間違えてもね」 
 そのどちらでもというのだ。
「イスラエルじゃ罪に問われるよ」
「怖いわね」
「とにかく宗教が絶対の国だから」
 イスラエル、この国はというのだ。
「だからね」
「それが持病だと」
「辛いね」
「アメリカや中国の持病は他国が迷惑だけれど」
 横暴を振るわれる方がだ。
「イスラエルの場合はね」
「自分自身が辛そうね」
「とにかく禁欲的な宗教だからね」
「仏教の禅宗よりも」
「うん、あそこよりもね」
 さらにというのだ。
「今は凄いだろうね」
「私ユダヤ教徒にはなれないわね」
「僕もだよ、本当にね」
「そうよね、しかし持病もそれぞれね」
 ティンはしみじみとして思った。
「今そのことをつくづく思ったわ」
「国家のそれもね」
「いいかどうかは別にして」
 それでもというのだ。
「色々ね」
「そうだね、じゃあ僕達はね」
 ピーターはスープを飲んだ、そしてまたワインのグラスを手に取ってそうしてさらに言うのだった。
「クロアチアの持病を楽しもうか」
「ワインを飲むことね」
「そうしようか」
「これはいい持病ね」
「そうだよね、じゃあね」
 笑顔で妹に応えてだった。
 二人でワインを飲んだ、二人にとってクロアチアの国家としての持病は実にいいもので満喫することが出来た。


国家の持病   完


                 2020・2・16 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧