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八条学園騒動記

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第五百六十話 国民の持病その八

「それでなのね」
「その日本の素晴らしいものを自分達が起源って言って」
「自己満足してるのね」
「中国とかアメリカにも言うけれどね」
「あの二国にもなのね」
「あの二国にも劣等感持ってるから」
 それ故にというのだ。
「漢字とか漢方とか儒学とか野球とかにも言うけれど」
「一番言うのは日本ね」
「もう日本のいいものは全部起源って言うけれど」
「それもなのね」
「日本からだから」
「こっちも不治の病なのね」
「そうだと思うよ」
 ピーターは自分の赤ワインを飲みつつ話した。
「だからね」
「あの国の持病は」
「まず治らないね」
「まずなのね」
「絶対に治らないとは思わないけれど」
 それでもというのだ。
「治るにはね」
「かなり難しいのね」
「何しろあそこの教科書どれもね」
 数多くの出版社が教科書を出しているがというのだ。連合では各国それぞれの政府に教科書を扱っている出版社が教科書を出して検定してそれぞれ採用されている。
「歴史のは日本ばかり出て」
「それでなのね」
「もう韓国が主役だけれど」
「日本はもう一方の主役なの」
「完全な悪役だけれど」
 その立場だが、というのだ。
「日本は最初から最後までずっと出ていて」
「嫌でも日本を知るのね」
「それでマスコミもネットも」
「日本のことばかり言うのね」
「そう、それでね」
 さらにというのだ。
「政府もね」
「日本への対抗意識全開ね」
「そんなのだから」
 それでというのだ。
「あの国はね」
「日本から離れられないのね」
「産業も文化も日本が得意なのに向かうから」
「棲み分けしないのね」
「日本に勝ちたいってね」
「そう思ってばかりなのね」
「自分達のことを話して」
 ピーターは漬けものの様に卓上に出されているチーズを手に取った、そうしてそれを食べつつ言った。見れば他にはピクルスもある。
「そしてね」
「日本ではどうかとか?」
「すぐにその論調になるから」
「とにかく日本なのね」
「もう日本が万事の基準なんだ」
「じゃあ日本が関係ない分野は」
「絶対に進出しないし」
 興味すら持たない、この時代でも。
「そんなのだから」
「深刻な持病ね」
「こんな国連合でもね」
「三百以上の国があるけれど」
「他にないよ」
 それこそとだ、ピーターはチーズの後でワインを飲んで話した。
「それこそ」
「だから治ることは」
「ないよ」
「我が国ってね」 
 ここでテインは自国の話をした。 
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