| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百六十話 国民の持病その二

「人と違うね」
「っていうと」
「持病のない人がいるけれど」
 そうした人はというのだ。
「持病のない国はないかな」
「そうなの」
「今思ったけれど」
「持病のない国はない」
「持病のない人はいてもね」
「そうなのね、そういえば私もお兄ちゃんも」
 ティンはピーターの言葉を受けて言った、そうして自分の食パンに苺のジャムを塗ってそのうえで口にした。
「持病ないわね」
「そうだね」
「有り難いことに」
「持病は若くても持っている人がいるよ」
 ピーターはあっさりとした口調で述べた。
「これがね」
「そうよね」
「けれど僕達は」
「ないわね」
「本当に有り難いよ」
「けれど国は違うのね」
「うん、マウリアにもあるしね」
「ああ、マウリアの持病っていうと」
 ティンはパンを食べながらすぐに言った。
「カレーね」
「あそこはカリーって言うね」
「お料理何でもカレーね」
「あの味だよね」
「ええ、本当に」
 ティンもそうだと頷いた。
「あの国のお料理は」
「というかカレーでないお料理ってね」
「あの国にはないわね」
「もう何でもかんでも」
 それこそというのだ。
「お料理はカレーだから」
「それがマウリアの持病ね」
「そう思うよ」 
 実際にというのだ。
「あの国はね」
「というかあの国のお料理ってカレーなかったら」
「想像出来ないね」
「そこまでいってるわね」
「ただ、ビーフカレーはね」
 連合では非常によく食べられているカレーである。
「あそこはヒンズー教だから」
「食べないのよね」
「若しマウリア人にこのカレー出したら」
「怒るわね」
「そうなるから」
 ヒンズー教で神の使いとされているからである、とかくマウリア人というかヒンズー教徒は牛を尊んでいるのだ。
「要注意だよ」
「このことはね」
「あとエウロパ各国も」
 連合から見て敵である彼等もというのだ。
「やっぱりね」
「持病あるの」
「それぞれの国でね」
「そうなのね」
「ええ、ただ」
「ただ?」
「僕あそこのことはよく知らないから」
 エウロパの国々のことはというのだ。
「嫌いだしね」
「興味ないの」
「あそこのことはね」
「そうなのね」
「しかしね、国家の持病はね」
 それはというのだ。
「どの国にもね」
「あるのね」
「そうだと思うよ、そして中央政府もね」 
 連合を代表するこの政府もというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧