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八条学園騒動記

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第五百五十九話 タピオカミルクその一

                タピオカミルク
 ティンと春香はそれぞれタピオカミルクを持って店の傍にあるベンチに並んで座った、ここで春香は自分達の足を見てこんなことを言った。
「私達ズボンだけれど」
「あっ、そうね」
 ティンは言われて気付いた。
「私もそうだし」
「私もね」
「そういえばそうね」
「ズボンだとね」
 それもくるぶしまであるズボンだ。
「動きやすいしね」
「のぞかれる心配もないわね」
「自分でも気付かれないうちに見られてるとか」
「そういうのもないし」
 ティンはまた言った。
「ないからね」
「ズボンはいいわね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「問題はね」
「問題?」
「ズボン穿いてたら男の子に注目されないのよね」
 このことも言うのだった。
「それだけで」
「あっ、確かに」
 言われてみればとだ、春香はティンのその言葉に頷いた。
「それはね」
「そうでしょ」
「スカートの時は行き交う人も見るけれど」
 勿論異性が大抵である。
「それでもね」
「ズボンだとあまり注目されないわよね」
「それだけでね」
「ズボンってそう考えると不思議よね」
「そうよね、特にね」
 春香はタピオカミルクを飲みつつティンに話した、ミルクの味だけでなくタピオカの食感も中々のものだ。
「ジャージだと」
「ああ、ジャージね」
「お家の中にいてね」
「そのままコンビニとか行く為にね」
「お外に出たら」
「もう誰も観ないわね」
「そうでしょ、石ころみたいにね」 
 道に転がっているそれの様にというのだ。
「思われてね」
「無視されるわね」
「店員さんも塩対応で」
 ジャージを穿いていると、というのだ。
「もうね」
「ズボンの中でも特に凄いわね」
「ジャージ穿いてぼさぼさの髪で足は普通のシューズとかサンダル」
「女優さんでも絡まれないわね」
「意識されないわよ」
 そうなるというのだ、女優をやる様なら顔立ちはかなり整っているがというのだ。春香はこうまで言った。
「絶対に」
「マリリン=ショーンでも」
 ティンは連合で今人気の女優の名前を出した、美人で有名である。
「そうなるのね」
「ジャージだとね」
「そう思うとジャージ凄いわね」
「そう、どんな美人さんが着ても」
「石ころみたいになる」
「そんな服よ、色気がないどころか」
 春香はこうも言った。
「気配すらなくす」
「そうした服ね」
「そう思うとね」
 実際にというのだ。
「ジャージはよくもあるけれど」
「悪くもあるわね」
「合コンとかに出たら」
 ジャージを着てというのだ。 
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