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八条学園騒動記

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第五百五十八話 ラーメン屋を出てその十三

「全く力入れないから」
「そうした産業に力入れた方がいいでしょ」
 ティンは冷静に指摘した。
「だって日本って連合で経済力とか総生産で三位とか四位でしょ」
「文句なしの超大国よね」 
 春香もこう返す。
「それこそ」
「そう、そんな国の得意産業に進出しても」
「ちなみに韓国は二十位程ね」
 連合の中でというのだ。
「おおよそ」
「順位も開いてるけれど」
「国力の差は」
「もう凄いわよね」
「十倍は開いてるわね」
「そんな国と張り合っても」
 十倍の国力差の相手にというのだ。
「勝てないでしょ」
「そう思うのは普通でしょ」
「韓国は違うのね」
「そう、日本を見て動く国だから」
 それ故にというのだ。
「日本の得意産業にね」
「進出するのね」
「それも国全体で」
「それで負けるの」
「正直勝てない相手だけれど」
 国力差があり過ぎてというのだ、この時代の日本は連合の総生産や経済力で常にアメリカや中国、ロシアと競り合っているのだ。
「それでもね」
「向かうのね」
「日本が一だった時とか」
 連合の経済力でだ、そうした時代も連合千年の歴史の中で存在していた。
「もう日本を超えたらね」
「連合トップになるから」
「無茶苦茶必死だったらしいわ」
「普通にトップ目指せないの」
「だから日本を超えることがね」
 それがというのだ。
「彼岸だから」
「そうした考えなの」
「そうなの、日本が一位ならね」
「日本を超えてトップになって」
「日本が五位ならね」
「五位になろうっていうのね」
「そこから何もかもがだからね」
 春香はぼやく声で話した。
「特別なのよ」
「連合の中でも」
「こんなにある国を意識する国ってないから」
「しかも連合の中の国だし」
 エウロパでなくだ。
「というか連合ってエウロパは嫌いでも」
「基本嫌い以外の感情ないでしょ」
「エウロパで悪いことがあったら喜ぶけれど」
「その中のこととか関心ないでしょ」
「正直ずっと停滞していたらね」
 ティンは連合の対エウロパ感情についても言及した、千年以上に渡って対立が続いているがというのだ。
「それでいいし」
「そうでしょ、けれど韓国はね」
「そのエウロパは二番目ね」
「本当にね」
「まず日本なのね」
「そこからだから」
「ややこしい国ね、けれど」
 ここでティンは左手にある店を見て春香に提案した。
「ちょっと一休みしない?」
「あっ、あそこでなのね」
 春香もその店を見てそのうえでティンに応えた。
「一休みね」
「そうしない?」
「いいわね、あそこでタピオカミルク頼んで」
「そうして飲みながらね」
「一休みというのね」
「結構歩いたでしょ」
 それでとだ、ティンは話した。
「だからここでね」
「一休みね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
 春香も頷いて応えた、そうしてだった。
 二人はその店でそれぞれタピオカミルクを注文した、そのうえで二人でお店の傍のベンチに並んで座った。そうしてまた話をするのだった。


ラーメン屋を出て   完


                 2020・2・2 
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