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八条学園騒動記

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第五百五十八話 ラーメン屋を出てその一

                ラーメン屋を出て
 ティンは春香と一緒に店を出た、そうして暖簾を潜ってすぐにこう言った。
「いや、もうお腹一杯」
「私もよ」
「もう入るところないわ」
「そうよね、韓国では麺は別腹っていうけれど」
「それでもよね」
「もう入らないわ」
 こうティンに話した。
「流石にね」
「あれだけ食べたらね」
「デザートもね」 
 これもというのだ。
「入る場所ないわ」
「そうなったのね」
「本当にね」
「二人共かなり食べたわね」  
 ティンもしみじみとして言った、二人で今は一緒に歩いている。
「満足出来たわ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「あれが昔の日本の中華料理店ね」
「昔名がらのね」
「ラーメン屋って言われる」
 春香はこうも言った。
「そうしたお店ね」
「そうなのね」
「それでメニューもね」
「ラーメンにしても」
「餃子もレバニラも炒飯も」 
 二人で食べたものもというのだ。
「全部ね」
「昔ながらのメニューね」
「日本の中華料理店のね」
「何ていうか」 
 ティンは先程食べた味を思い出しつつ春香に話した、二人は今は特に行くあてもなく考えなしに歩いている。まだ昼休みなのでそうしているのだ。
「日本のお料理よね」
「全部ね」
「そうよね」
「少なくとも中国のお料理じゃないわね」
「どう見てもね」
「何ていうか」 
 春香がここで言った。
「一つ思ったことは」
「何なの?」
「日本人って洋食も外国料理って言って」
「中華料理も」
「ええ、けれどね」
「その実は」
「そう、日本のお料理よね」
 こうティンに言った。
「味とかも」
「そうなってるわよね」 
「実際エウロパにオムライスないから」
 洋食の代表料理の一つであるこれはというのだ。
「オムレツはあっても」
「オムライス美味しいけれどね」
「それでもね」
 味はともかくとしてというのだ。
「あのお料理もね」
「エウロパにはないのよね」
「今もね」
 それこそエウロパのどの国にもだ。
「オムレツはあるけれど」
「何かチキンライスがない?」
「オムレツの中のそれが」
「それでね」
「オムライスってなると」
「なくて」
「日本で生み出されて」 
 これは実際のことだ、オムライスは日本で生まれてそうして連合全体に定着した料理の一つであるのだ。 
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