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八条学園騒動記

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第五百五十七話 昔ながらのラーメンその十二

「借金は残って」
「後どうやってくか」
「そう考えるとね」
「地獄よね」
「そう考えると」
 ティンはふと考えを変えた、そのうえでその考えを春香に話した。
「お店続くならまずくても評判になるなら」
「いいかも知れないわね」
「人間やっぱり生きないとね」
「そんな半年で潰すよりも」
「五十年続く方がいいから」
「それならよ」
「まずくても」
 食べものを扱う店の評価としては最悪でもだ。
「それでもお店をやっていけたら」
「いいものよね」
「そうね、凄い論理にしても」
「正道でなくてもね」
「正道でなくてもお店が続くなら」
 それならというのだ。
「もうね」
「いいのよ、生活あるから」
「お店の人達にしても」
「食べていかないと駄目だから」
「出す食べものがまずくてもなのね」
「そうしたサイトでも評判になるらね」 
 それが例えまずいというものでもだ。
「いいのよ」
「凄いことね、ただね」
「ただ?」
「いや、そのお店麺類はまずいけれど」
「それだけじゃないの」
「丼ものはどうかしら」
 こちらはというのだ。
「親子丼とかカツ丼とか」
「そっちもまずかったら終わりね」
「そういうのまでまずいかどうかはね」
「あんた知らないの」
「私が食べたのは鴨そばだから」
 だからだというのだ。
「丼ものは食べたことないのよ」
「じゃあ今度食べてみたら?」
 春香は笑って提案した。
「そうしたら?」
「遠慮するわ、だってね」
「鴨そばがあんまりにもまずかったから」
「もう他の食べものも食べたくないから」 
 だからだというのだ。
「もうお店自体にね」
「入りたくないのね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「もういいわ」
「そうなのね」
「確かめないから」
 絶対にという言葉だった。
「私は」
「まずかったから」
「お蕎麦がね、だからね」
「丼が美味しくても」
「先入観が出来たから」
 その鴨そばでというのだ。
「だからね」
「もう食べないのね」
「二度とね」
「そうするのね」
「ええ、あそこで食べるなら」
 それならというのだ。 
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