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小豆洗い

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第二章

「お箸もアメリカでも使っていたので」
「使えるのね」
「そうです、ただお好み焼きを食べたのははじめてです」
「これ大阪焼きって言う人もいるんですよ」
 ここでだ、星夏がどうかという顔で話した。
「これが」
「大阪焼き?」
「広島の人に言わせると」 
 それがというのだ。
「そうなんですよ、あちらのお好み焼きが本場で」
「広島のものが」
「大阪のものは大阪焼きだと」
「こっちはこっちで広島のものは広島焼と呼んでるのよね」 
 久理子は苦笑いで述べた。
「お互い様よね」
「そうなりますけれどね」
「星夏ちゃんとしてはなのね」
「私生まれも育ちもこっちですから」
 大阪人だからだというのだ。
「ですから」
「お好み焼きはなのね」
「これですよ」
「大阪のお好み焼きね」
「はい、それでなんですが」
 ここで星夏はお好み焼きにビールを楽しみつつ言った、見れば三人共その組み合わせを楽しんでいる。
「ミシェルさん日本に興味のあることは」
「多いですがその中でも」
 ミシェルもビールを飲みつつ言う、実にいい飲みっぷりである。
「妖怪に興味があります」
「妖怪に?」
「はい、妖怪に」
 まさにそれにというのだ。
「それで大阪でもです」
「妖怪のいる場所にですか」
「行ってみたいと思います」
「妖怪なら」
 すぐにだ、星夏は言った。
「大阪でないですがいい場所がありますよ」
「そこは何処ですか?」
「神戸の八条大学、私の出身大学ですが」
「そこがですか」
「もう妖怪のお話が学園全体でそれこそ百位ありまして」
 それでというのだ。
「そこに行けばです」
「日本の妖怪に会えますか」
「中国とか西洋の妖怪もいて幽霊もいますけれど」
「日本の妖怪にもですか」
「会えます、もう世界一の妖怪とか心霊のスポットですよ」
「そうした場所ですね」
「はい、ただ大阪じゃないです」
 星夏はこのことは断った。
「ですから大阪では」
「それなら私が知ってるわ」
 すぐにだ、久理子が言ってきた。
「妖怪がいる場所ならね」
「課長ご存知ですか」
「このお店の近くの川の方に行ったらね」
 そうしたらとだ、久理子は星夏に話した。
「もうね」
「妖怪に出会えますか」
「いや、会えないの」
 久理子はこのことは断った。
「残念だけれど」
「会えないんですか」
「姿は見えないのよ」
「そうですか」
「そんな妖怪だけれど」
 それでもというのだ。
「いることはね」
「いるからですか」
「行きましょう」
「そこにですね」
「ええ、木津川の方にね」
「あの川ですか」
「そう、食べて飲んだら」
 その後でというのだ。
「ミシェルさん案内しましょう」
「わかりました」
「日本の妖怪に会えるのでしたら」
 それならとだ、ミシェルも上機嫌で言った。 
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