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小豆洗い

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第一章

                小豆洗い
 この時山下星夏は先輩の有田久理子にどうかと言う顔で言った、星夏は茶色の長い髪の毛で頭の横の部分を巻いて後ろにやっている。切れ長の目は一重で眉は細い。背は一六〇程で胸はかなり大きい。まだ独身だが交際相手はいる。
「あの、課長。今回は」
「ええ、アメリカ支社から来るミシェル=オズバーンさんね」
 久理子はこう応えた。三十代前半で強気の表情である、目はきらきらとしている。細い眉が斜め上に伸びていて見事な長い黒髪は癖があり右で分けている。背は一五六位であり胸は星夏に負けていない位だ。星夏は八条スポーツの黒の膝までのタイトスカートとベスト、白のブラウスに青のネクタイといった服装で久理子の服は膝までの黒のタイトスカートとベスト、水色のブラウスに赤のネクタイといった格好だ。
「あの人とのお話ね」
「今回は特に、ですよね」
「ええ、大阪本社への研修に来るから」
「会社のことを見てもらって」
「大阪のこともね」
「見てもらうんですね」
「お仕事自体は特にね」
 これといってというのだ。
「難しいものじゃないわ、けれどね」
「アメリカから来る人で」
「日本ははじめてらしいから」
 だからだというのだ。
「色々とね」
「日本のことをなのね」
「知ってもらって」
 そしてというのだ。
「理解してもらう様にね」
「色々説明することですね」
「何でもアメリカ支社じゃかなり出来る人で」
 それでとだ、久理子はさらに話した。二人共八条スポーツ大阪本社のビルの中の喫茶店で紅茶を飲みながら話をしている。
「それでやがてはね」
「本社にもですか」
「来るかもっていう人だから」
「日本のこともですね」
「知ってもらう必要があるから」
 それ故にというのだ。
「よく勉強してもらいましょう」
「そうしてもらいますね」
「今回はね、だからね」
「本社のことを知ってもらって」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「日本のこともね」
「それじゃあ応対役の私達二人で」
「やっていくことですね」
「そうしていきましょう」
「わかりました」
 星夏は紅茶を飲みつつ久理子の言葉に頷いた、そうしてだった。
 ミシェルが来日すると二人で大阪本社の中を見てもらってその仕事の仕方等を知ってもらった、そしてだった。
 日本のことを色々説明した、するとだった。
 ミシェルは目を瞠って言った、長い金髪で如何にも気の強そうな不敵な笑みを浮かべた顔であり目は水色だ。顎は小さく眉は斜め上に短めで伸びている、背は一七〇近くありダークブラウンのスーツとズボンがモデルの様だ。胸は二人以上に大きい。
「はじめての来日ですが」
「どうかしら」
「はい、事前に勉強した通りの国ですね」 
 こう久理子に答えた。
「期待通りです」
「それは何よりね、ただ」
「ただ?」
「貴女随分日本語が上手で」
 こうミシェルに言う、今は三人で大阪の大正区のお好み焼き屋、久理子の家の近くにある美味しい店に案内してそこで飲み食いをしつつ話しているのだ。尚星夏のアパートも大正区にある。
「お箸の使い方もね」
「上手ですね」
「ええ、本当に」
「大学で日本語と日本文化を研究していたので」
「それでなの」
「日本語は書くことはまだまだでも喋れて」
 そしてとだ、ミシェルはさらに話した。 
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