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真恋姫を駆けた男

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天の御遣いの噂

~真紅狼side~
山賊どもを始末した代わりに飯を食わせてもらった後、紹介したいから来てくれと言われたので、取り敢えず王の間に向かった。


「来たぞ、孫策。」


王の間に来てみると、うん、呉の将達がそろっていたんだよ。


「改めて紹介するわ。姓は孫、名は策、字は伯符、真名は雪蓮よ」
「真名まで預けるなら、私も預けよう。姓は周、名は瑜、字は公謹、真名は冥琳だ。」
「策殿が少し前に会った男に真名を預けるほどの男か。なら儂も預けよう。
姓は黄、名は蓋、字が公覆、真名は祭じゃ。よろしく頼む。」
「私は真名はちょっと。姓は周、名は泰、字は幼平です。」
「・・・・姓は甘、名は寧、字が興覇だ。」
「わ、私は姓が呂、名は蒙、字が子明です。」
「私は姓が陸、名が遜、字は伯言です~。」
「・・・・・・・・」
「蓮華も挨拶しなさいよ~。」
「・・・姓が孫、名は権、字が仲謀だ。」


呉の有名な武将が勢ぞろいだね。これは。
というか、さっきから睨んでくる者が二人に興味を持つ者が一人、怖がっている者とマイペースの奴が一人か。
取り敢えず、俺も名乗るか。


「俺の名は蒼騎 真紅狼だ。姓と名はねぇ。字が蒼騎で、真名は真紅狼だ。 ・・・それと、七年前まで“真紅の殺人鬼”って呼ばれていた。」


と意を決して言ってみたところ、反応する者が三人出た。


「なっ!」
「・・(スッ」
「ほう? お主があの・・」


一人はすでに臨戦態勢か。悪くない、良い反応だ。


「待て。俺は孫家に飯を奢ってもらったんだ。殺しはしねぇよ。」
「信じられるか!!姉様、なんでこんな奴を招き入れたんですか!?」
「いや、だってねぇ~。山賊達から助けてもらったし~。」
「礼の一つや二つしておかなければ、孫家の名が下がりますよ?蓮華様。」
「ですが!!」
「安心しろ。どうせ長く留まるつもりはない。あと少し休ませてもらった後出ていくよ。」
「あら、そうなの?」
「待ってる奴がいるしな。というか、これ以上放置していたら何されるか分かんねぇし。」
「残念だ、このまま留まってくれたら、“天の御遣い”になってもらおうと思ったんだが・・・」


何になってもらおうだって?


「“天の御遣い”ってなに?」
「お主知らんのか?」
「知らん。長い間体鍛えていたから、全然情報を聞いてなかった。」
「管輅という自称占い師が占った予言がコレだ。」


『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流れ星。流星は天より御遣いつれて現れ、乱世を鎮静す』


「とな。」


と詳しく教えてくれる冥琳。


「俺じゃねぇだろ、それ。だいたい俺は流星から来たか?」


“外史”とは言え、メルヘン過ぎんだろ。この予言。


「言いたいことは分かる。だが、これにはまだ続きがあってな。」
「はい?」


『・・・またもう一人の御遣いは“死を語る魔眼”を持ち、乱世に隠れた闇を“殺”しせしめん。しかし、その者人には非ず。』


「だって。」
「・・・・・・・・・・・・・・」


オイオイ、その管輅って奴なんちゅうピンポイントな予言してくれるんだ。
メッチャ当たってんぞ。


「まあ、噂だからね。噂の真偽を確かめようと各国が躍起になっているわけよ。」
「で、もう一人の御遣いが俺じゃないかって。か?」
「そうよ~」
「そんな“死を語る魔眼”なんていう大層な物を持っちゃいないよ。(持ってるけどよ)」
「だが、そんなときにかつて朝廷を騒がせた“真紅の殺人鬼”に出会ったら、そう思うだろう?」
「思わない方がおかしいな。しかし、天の御遣いって言っても“善”と“悪”が混じってんな。」
「どういうこと?」
「前者は“英雄”と呼ばれるだろうが、後者は間違いなく批判されんぞ。そいつが“人”ならよかったが、“人”じゃ無いんだぜ?乱世を治めてくれた奴が“人”では無いということに民衆は反発するだろうな。」
「・・・!!」
「確かに・・・」


このことに気が付いたのは雪連と冥琳の二人だった。


「さて、挨拶も終わったし、巷の噂も聞けたし、そろそろ帰らねぇと。世話になったな。孫s・・いや、雪連に冥琳」
「真名で呼ぶんだ?」
「教えてもらったのに呼ばない方が失礼だろ?」
「確かにね、縁が合ったらまた逢いましょう、真紅狼。」
「おう。じゃあ、失礼する。」


と言って、俺はここに来る前に貰った、路銀を袋に入れ、黒鷹を馬舎から出し呉を後にした。
~真紅狼side out~


~雪連side~
「行っちゃったわね、真紅狼」
「ああ。」
「でも、なんかどこかで逢える気がするのよね。別な形で。」
「そうか。それよりも御遣いの噂の時の表情が気になるな。」
「どうしたの、冥琳?」
「噂で“死を語る魔眼”と私が言ったとき、僅かに表情がぶれていたんだ。ほんの僅かだがな。・・・アレはなにかしら知っている顔だったな。」
「・・・今度逢ったときに聞きましょうよ。」
「そうしよう。では、雪連仕事をしてもらうぞ。」
「え~~~!!」
~雪連side out~


真紅狼が出た後、王宮に悲鳴が響き渡った・・・ 
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