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真恋姫を駆けた男

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真紅狼、孫策に会う

~真紅狼side~
どうも、現在絶賛刃物を突き付けられている最中だ。
なんで、こう突きつけられるんだろうね?
顔の傷か?そうなのか?
それはどうでもよくて、突きつけている相手は褐色肌の女性だ。
しかも、服装から見て、それなりに地位が高そうだ。
なんというか、下手打ったらメンドイことになりそうだ。
どう対応しようかな?
~真紅狼side out~


~???side~
冥琳と二人で出掛けていたら、いかにも賊っぽい男に出会った。


「貴方、ここで何をしてるの?」
「いや、各地を見て回る旅をしていると言うのかなぁ?」
「はっきりしないわねぇ。」
「まあ、各地を旅しているしがない旅行者だよ。」
「じゃあ、その旅行者に聞くわ、貴方ここがどこか知ってるの?」
「呉だろ?孫策が治めている。」
「そうよ。旅行者さん・・・いや、“真紅の殺人鬼”?」
「・・・!!その名を知ってるってことは刺客、もしくは孫家に近い者か。」


と言って、彼が纏っているオーラが変わった。


「ここで貴方を倒せば、名声を得られるわ・・・ね!」


言い終わると同時に私は“南海覇王”を抜き、そのまま袈裟斬りをした。
だけど、その攻撃は失敗した。
振り降ろしている途中で私の武器は空中で止まり動かなくなり、そのまま“真紅の殺人鬼”は私の武器を素手で掴んで奪い取り、私を蹴り飛ばした。


「きゃあ!!」
「いけね、つい無意識にやっちまった。」
「アレが無意識なんて悉く、規格外ね。貴方」
「おい、大丈夫か?」
「あら、敵かもしれない相手を心配するなんて余裕ね?」
「余裕もへったくれもあるか、得物が無い相手を痛めつける趣味はねぇ。しかも相手が女性ならなおさらだ。で、アンタは何がしたいんだ?」
「それはもちろん貴方を倒して、名声を・・「ゴツン!」いったーい!」


小競り合いで気が付かなかったがいつの間にか話している女性の後ろに黒髪でメガネをかけた女性が叩いていた。


「いったい何をしている、雪連。」
~???side out~


~???side~
二人で先代の墓参りに行った後、帰り際雪連とはぐれてしまった。
いや、雪連が何かを発見したみたいでその元に向かった。
私はゆっくりと向かった。
その場に着いたときちょうど、雪連が振り降ろす瞬間だった。
振り降ろした得物は空中で止まると言う不可解な現象が起こり、しかも素手で
得物を奪い取りそのまま蹴り飛ばしていた。
あり得ない光景を見た私は一瞬、呆けたがすぐに意識を取り戻した。


というか、あの顔の傷・・・。どこかの探し人の情報と似ていなかったか?
どこだっけ?


・・・・・・・・・・!
あ、思い出した。曹操が出した探し人の情報だ。


「いったい何をしている、雪連。」
~???side out~


~真紅狼side~
「いったい何をしている、雪連。」


と雪連と呼ばれた女性の頭を叩き、小競り合いを止めてくれた。


「いったーい!何するのよ、冥琳!!」
「身内がとんだ御無礼を。つかの事を聞きますが、曹家の兄である。蒼騎殿ではありませんか?」
「何故、俺の名を?」
「曹家が探し人の情報を各地に回している故・・・」
「あー、マズイな。」
「貴方、曹家の人間だったの?!」
「おう。まだ“曹”の名は貰っていないがな。」
「まさか“真紅の殺人鬼”が曹家の長男だったとはな。」
「色々あったんだよ。」
「詳しく聞きたいものですね。その色々(・・)の部分を」
「止めとけ、お前らには一生縁のない話だ。」


と俺は冥琳と呼ばれた女性の探りをかわしていく。
そんなとき、近くで足音がした。


「雪連と冥琳って言ったか?そこの二人、ちょいとこっちに来い。」
「「???」」
「団体さんのお出ましだ。」


と言った後、山賊団と思われる集団が2,30人出てきた。


「へへっ、見ろよ。孫策と周瑜、それに曹家の長男がいるぜ!」
「しかも、その内一人は朝廷から追われていて、生け捕りにすればたっぷりと報奨金が出る。」
「いや、待て。曹家の長男は監禁して曹操を強請ろうぜ。たくさん払ってくれるぜ、絶対。」
「そうだな。そうしようぜ!」
「おい、お前ら!!男は生け捕りだ!!」


と戦力差で勝っているという妄想に囚われている山賊どもはすでに勝っている様子だった。


「オイ、お前。」
「あ?」
「てめえだよ。そこのちょび髭。」
「なんだと?」
「誰を強請るって?」
「ああ?曹操に決まってんだろ。」
「そうか・・・なら何されても文句はいえねぇよな?」
「寝言は寝て言え、ガキが!!やっちまえ!!」
「「「ウオォォ!!」」」
「お前ら、孫策と周瑜だったのか。で、どっちがどっち?」
「そんなこと聞いてる場合じゃないでしょ!?」
「あ、大丈夫だから。」
「は?」
「一応警告しといてやるか。山賊どもそこから先一歩でも踏み出した瞬間、バラバラ死体が出来上がるから死にたくなかったら止めときな。」
「どうしましょう?頭。」
「はったりに決まってんだろ。いけお前ら!」
「忠告はしたから恨むなよ?あ、孫策と周瑜はもうちょい俺に寄って。巻き込みかねないから。」


言った後、二人は近づいてきた。
体の一部が俺に当たっているんだが、スゲェボリュームだな、オイ。
・・・ゴホンッ!
俺たちの周りに即座に鋼糸を展開し、山賊の頭っぽい奴以外を残して、残りは裁断した。


「なぁ・・・!?」
「あーあ、だから言ったのに。バカだねぇ。」


さっきまで2,30人居たはずの山賊団は一瞬で一人まで減っていた。
この現状を見ていた孫策と周瑜は口が塞がっていない。
まあ、こんなの見せたらそうなるか。
さて、残した雑魚は極死の練習台になってもらうか。
~真紅狼side out~


~孫策side~
「寄ってきて」と言われたので私と冥琳は蒼騎に寄った。
その後、一斉に襲いかかって来た山賊どもが裁断され、細切れとなって消えた。
信じられなかった、この光景が。
もし、これが私に向けられていたら私はこの地に立って居られなかった。
そんなことを考えると体が震えてきた。
蒼騎の横顔を見ると嗤っていた。
その表情に私は“恐怖”を覚えそうになった。
冥琳を見てみると、冥琳も同じようだ。


「(ねぇ、冥琳。)」
「(なんだ、雪連。)」
「(私、絶対蒼騎の前で、曹操の陰口を言わないことにするわ。まだ死にたくないし)」
「(奇遇だな、私も同じことを考えていた。)」


そう二人は心に決めた。
~孫策side out~


~真紅狼side~
「さて、残りはアンタ一人。」
「舐めてんじゃねぇ!!」
「まあ、待て。アンタの処刑方法はすでに決まってるんだ。そんなに慌てなくてもちゃんとお仲間のところに逝けるさ。」


「処刑」という言葉に反応して、逃げだしていた。


「逃がさねぇよ。」


懐から取り出した短刀を上に向けて、言い放った。


『極死―――――― 七夜!!』


短刀を投げつけ、逃げていく山賊は短刀を弾いて余裕を取り戻した時、すでに俺はコイツの頭の上に居た。
そして、そのまま首を力の限り捩った。


ゴキッ!


と何かが折れる音がした後、その男は死んだ。
男が倒れると同時に地面に着地し、七夜が言うセリフを言った。


「救われないな・・・・・オレも、オマエも」


本当に救われないな。


「今の何?」
「ん?」
「今の何って聞いてるの。」
「ああ、暗殺者の業かな。」
「貴方、暗殺者だったの?」
「色々と技術を持っているんだよ、俺は。だから、様々な戦いが出来るんだよ。」
「さっきの業、教えて欲しんだけど。」
「無理。」
「そんなバッサリと言わないでよ。」
「人間の限界以上の動きをしてんだ。無理に決まってんだろ。」
「え~」
「え~。じゃない、取り合えず腹が減ったから。メシ喰わせて。」
~真紅狼side out~ 
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