八条学園騒動記
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第五百四十六話 〆に入れるものその十一
「完全に」
「ああ、それとな」
「それと?」
「それにな」
さらにとだ、洪童も鍋を見たがやがりなかった。
それでもうすぐ終わりかと思いつつ自分の碗の麺を食べつつ言った。
「このお碗な」
「ああ、これね」
「日本の食べ方だろ」
「我が国実はお碗なくてね」
「取り皿とかな」
こうしたものがなかったのだ、韓国の食文化では。
「実はなくてな」
「お鍋から直接食べてたのよね」
「ラーメンとかでもな」
「じゃあこうして食べていたら」
「親日派だな」
それになるというのだ。
「完全に」
「もうそうみなされたら」
「韓国じゃ村八分だからな」
「そうなるのよね」
「災難だな」
「そうよね、というかね」
春香はビールもあと少しになっているのを確認した、もうかなり飲んでいるので満足すべきかと思いつつそのうえで飲んだ。
そのうえでだ、兄に話した。
「お鍋から直接食べると」
「何かと不都合あるからな」
「そうなのよね」
「だからこうしたお碗があるとな」
「それに越したことないわよね」
「そうだからな、俺達も」
洪童も自分の酒を見た、彼の焼酎も残り僅かだった。
それで残りも全部食べようと思いつつ言うのだった。
「下手しなくてもな」
「親日派ね」
「そう言われるな」
「そうよね、というかエウロパの食べ方でも」
連合にとって絶対の敵であるこの国の食文化でもというのだ。
「いいものだったらね」
「取り入れていいよな」
「実際フォークとナイフってね」
「あっちのものだからな」
「それでも連合でも平気で使ってるし」
「若しもな」
洪童はきし麺を食べつつ述べた。
「スパゲティを手で食べるとかな」
「最初はそうしていたのよね」
「そうみたいだな」
十九世紀の初期から食べられる様になったがこの時はチーズをまぶして手で持って高々と掲げてから食べていた。
「どうやら」
「それもね」
「油とかソースでな」
「手が汚れるし」
「現実的じゃないからな」
今のスパゲティの食べ方ではというのだ。
「素手は」
「そうよね」
「だからな」
「フォークがないと」
「スパゲティは駄目だろ」
「本当にね」
「そう思うと」
まさにというのだ。
「食べ方位な」
「いいわよね」
「日本のものでもな」
「そうよね、もう日本のものは全部駄目とか」
「無意味というかな」
「有害よね」
「実際に有害だしな」
洪童ははっきりと言い切った。
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