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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その九

「これからはな」
「そしてそれをですね」
「表立ってはな」
「あくまで、ですね」
「不干渉だ」
 エウロパ政府はというのだ。
「政教分離に従い、だが」
「分裂の流れはですね」
「止めないことでだ」
 彼等に任せてというのだ。
「助ける」
「不介入の援助ですね」
「彼等にそれを行う」
「そうされますか」
「それが何度も言うがだ」
「エウロパの国益になるのですね」
「私はそう思う」
 ギルフォード、彼自身はというのだ。
「だから言う、だが」
「私達はどうか」
「そのことはですか」
 カミュもアランソもギルフォードに応えた。
「それがですね」
「問題だというのですね」
「今度秘密裏にだ」
 つまり内密にというのだ。
「閣議を行うが」
「そこで、ですね」
「最終的な決定をされますか」
「私の考えは決まった、しかしだ」
 それでもというのだ。
「この件で諸卿の意見を聞きたい」
「全閣僚の」
「それを」
「だからですか」
「秘密裏にですか」
「それを行う、そして決める」
 正式にというのだ。
「そこでな、だが多くの者が同じだろう」
「この分裂はエウロパの国益になる」
「このことは」
「そう思うがどうだ」
 ギルフォードはカミュとアランソに問うた。
「卿達にしても」
「はい、私はカトリックですが」
 カミュが答えた。
「やはりバチカンはです」
「エウロパにあるべきだな」
「はい」
 その通りという返事だった。
「そう思います」
「そしてだな」
「国益としましても」
 エウロパのそれから見てもというのだ。
「やはりです」
「連合からの工作ルートの遮断になる」
「ですから」
 それでというのだ。
「私としましても」
「支持するか」
「この政策を」
「カトリックの分裂をだな」
「はい、カトリックの信者としましても」
 カミュはここでこう前置きをした。
「あくまで一信者の意見ですが」
「バチカンはエウロパにあるべきか」
「バチカンはローマにありました」
 法皇庁、そこはというのだ。
「このことは普遍です」
「だからだな」
「かつてキリスト教には五つの聖地がありました」
 初期キリスト教で定められた、ローマ帝国が国教としてから暫く経ってのことだ。
「アレクサンドリア、アンティオキア、エルサレム、ビザンチウム」
「そしてローマだな」
「その中でカトリック教会の聖地はです」
「何といってもローマだな」
「エウロパにありました」
 即ち欧州にというのだ。 
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