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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その八

「それによってな」
「その抑止力はいいですね」
「そうだ、しかし法の統制を無視してだ」
「自分と意見が違うといってもですね」
「敵対する相手に力を振るうとな」
「それは暴力であり」
「僕力は看過出来ない、あくまで理性的にだ」
 建前であるが本音でもあった、ギルフォードの今の言葉は。
「民主主義の理念にも従いだ」
「バチカンには分裂してもらいますか」
「そうでなくては大義名分も立たない」
「分裂のそれも」
「あくまでエウロパのカトリックの者達がだ」
「民主的かつ理性的にですね」
「法皇を擁立しなくてはだ」
 そうしたものでなければというのだ。
「話に大義名分がない」
「そして連合にもですね」
「あちらを正統だとだ」
「完全に定められますね」
「そうなる、だからだ」
「ここは、ですね」
「暴力を出させずな」
 あくまで、というのだ。
「法に則りだ」
「理性的かつ民主的にですね」
「バチカンには分裂してもらう」
「わかりました、では」
「分裂派と統一派の衝突はだ」
「そうした流れで」
「進めてもらう」 
 他ならぬバチカンの者達にだ、そうしてもらってというのだ。
「これでまたキリスト教は分裂するがだ」
「それもですね」 
 アランソが言ってきた。
「歴史の流れですか」
「まさにな、これで三度目か」
 ギルフォードは冷静な目で話した。
「キリスト教の分裂は」
「東西教会分裂とですね」
「カトリックとプロテスタントでだ」
「つまりこの度のことはですね」
「永遠の分裂だ」
「異端認定ではなく」
「あれはまた別だ」
 公会議等でのそれはというのだ、ネストリウス派等が異端とされてそのうえで追放されてきている。キリスト教の歴史の中では。
「そもそも今は異端なぞはな」
「そうした認定はですね」
「意味がない、それを言うと国教会もだ」
 イギリス国教会、新教の一派でありギルフォードのキリスト教の宗派でもあるイギリス固有の宗派もというのだ。
「異端だ」
「実際にバチカンからはそうした認識でしたね」
「ヘンリー八世の頃からな」
「だからですね」
「異端は意味がない」
「そうなりますね」
「そうだ、それでだ」
 ギルフォードは話を戻して述べた。
「私は三度と言ったのは」
「あの法皇のバビロン捕囚からの分裂は戻ったからですか」
「入れない」
「そうですか」
「そのうえで言っている」
「キリスト教の分裂は三度目になると」
 これから起こるそれで、というのだ。
「そうなのですね」
「そうだ、東西教会とだ」
「そしてカトリックとプロテスタント」
「それからだ」
 まさにというのだ。
「今度で三度目でありだ」
「連合のカトリックとエウロパのカトリックですね」
「それになる」
 こう言うのだった。 
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