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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その十

「このことは普遍です」
「カトリックが存在する限りか」
「はい、ですから」
「卿としてもか」
「カトリックの支持に賛成です」
 カミュにしてもというのだ。
「連合にあるカトリックはカトリックであっても」
「只の信者達か」
「それに過ぎません」
 こう言うのだった。
「何でも二兆いるそうですが」
「連合の宗教人口十三兆、いや今は十七兆か」
「そのうちの二兆がいてもです」
「所詮は信者か」
「はい、あくまで中心はエウロパです」
 彼等の国であるこの国にというのだ。
「あるべきなのです」
「だからか」
「はい、私としてもです」
「分裂は賛成か」
「むしろエウロパ、ローマ=カトリック教会が教会ごと移ったバチカン星系にないと」
 銀河の時代ではそうなっていたのだ、ローマ市内にある国家ではなく一星系をエウロパ政府から提供されていたのだ、尚今現在もそうなっている。
「やはりです」
「カトリックではないか」
「そして法皇猊下もです」
「バチカンにおられないとだな」
「エウロパの」
「そうなるな」
「はい、ですから」
 カミュはギルフォードにあらためて話した。
「政教分離であり表向きは介入出来なくとも」
「暴力による反対から守りな」
「その運動を保障することによって進めていくことは」
「いいな」
「そう思います」
 こうギルフォードに述べたのだった。
「私にしましても」
「そうなるか」
「確かに政教分離です」
 近代民主主義、少なくともエウロパや連合が考えるそれではこれは原則となっている。ただしマウリアやサjハラではヒンズー教やイスラム教は政治にかなり関わっている。こうした国々では政教分離は曖昧だ。
「しかしバチカン程の宗教になりますと」
「そうはいかないな」
「現に国家でもあります」
 それも教皇領が出来てからのことだ。
「今も尚」
「だから中々だな」
「完全な分離とはです」
「言えない、そのこともあってか」
「難しいものがあります」
 政教分離の原則からだ。
「元々この問題は厳密には言い難いですが」
「政党にもキリスト教の影響が強い政党がある」
 エウロパの地方政党にはだ、これは連合も同じだ。
「そしてそうした政党も勢力がある」
「そのことを考えますと」
「実際に政教分離の原則は曖昧だ」
「現実としてその問題もあります」
「そうだな、しかしだ」
「それでもですね」
「一応はだ」
 曖昧な部分は否定出来ないがというのだ。
「そこは守らないとならない」
「表向きであっても」
「だからだ」
「この件はですね」
「中央政府は不介入だ」
 エウロパの統一政府としてはというのだ。
「私はそう考えている」
「そしてそれを閣議で、ですね」
「決めよう」
「秘密の閣議で」
「そうしていく」
「わかりました」
「卿以外にもカトリックの閣僚はいるが」
 エウロパのキリスト教で最大宗派だ、連合でもこのことは同じだがこの時代でもキリスト教の最大宗派は変わっていないのだ。 
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