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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその三十六

「エウロパが大きくなろうともだ」
「元々巨大ですし」
「ここにきて国力と人口の増加の速さが大きくなっています」
「それではですね」
「エウロパが大きくなろうとも」
「追いつくことは非常に困難だ」
 こう言うのだった。
「やはりな」
「どうしてもですね」
「エウロパが連合に追いつくのは難しいですね」
「それも相当に」
「そうなのですね」
「そうだ、やはり連合は圧倒的だ」
 その国力はというのだ。
「技術も違うしな」
「隔絶たるものがありますね」
「他の勢力と比べて」
「このことは否定出来ないですね」
「やはり」
「しかもその国力の伸長や技術の革新はまず停滞しない」
 そうしたこともないというのだ。
「平和なだけにな」
「政治的に混乱が生じてもですね」
「それでもですね」
「あの国の国家システムは磐石だ」
 連合の政治、この場合は行政のそれはというのだ。
「官僚機構にしてもな」
「連合はそちらも充実していますね」
「連合のそれはですね」
「それも参考にすべきことですね」
「政府や議会が紛糾し内外で対立していてもだ」
 連合では頻発するそうした事態に陥ってもというのだ、とかく様々な勢力がモザイクかつ螺旋状に存在しているのでそうした事態にも陥りやすいのだ。
「あの国は動くのだ」
「中央政府も各国政府もですね」
「行政自体が止まることはない」
「そうした国ですね」
「そして平和は維持されている」
 それにより産業が破壊されることはないというのだ。
「産業の発展は止まらない」
「技術もですね」
「そして国力も伸長していく」
「それも止まることなく」
「そうした国だからですね」
「あの国は勢力を拡大し続ける」
 それも果てしなくというのだ。
「巨大になり続ける国だ」
「無限の開発地と開拓地もありますし」
「余計にですね」
「人口も増えていく」
「資源の問題もありませんね」
「その連合に追いつくとなるとな」
 エウロパがであるがこのことは実はマウリアについても言える。
「非常に難しい」
「実際にはですね」
「どうしてもですね」
「既に国力差は百倍です」
「そこまで開いていますし」
「実はエウロパは一度も連合以上になったことはない」
 この国を国力で超えたことはないというのだ。
「お互いが建国されてからな」
「あのブラウベルグの頃もそうでしたね」
「連合は国力ではエウロパを圧倒していました」
「確かにブラウベルグはエウロパを復権させましたが」
「それでもでしたね」
「宇宙に出たことは出たがだ」
 連合に奪われていたその場所をだ。
「しかし国力はその時点で連合よりも遥かに低かった」
「人口でも総生産でも」
「そして技術でもでしたね」
「連合に大きく遅れを取っていて」
「この千年間ですね」
「連合より国力が大きくなったことはないですね」
「むしろ圧倒されていた」
 越えるどころかというのだ。 
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