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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその三十七

「そうした状況だった」
「そしてそれ故に」
「今もですね」
「連合とは大きく国力差が出来てしまっている」
「そうした状況ですね」
「それは圧倒的でだ」
 まさに文字通りにというのだ。
「エウロパが成長してもだ」
「連合があの巨大さのままですね」
「彼等も成長しますので」
「それではですね」
「追いつくことは出来ませんね」
「一が成長して二になるが百が成長して三百になるならだ」
 どちらがエウロパでどちらが連合か言うまでもなかった、ジャバルだけでなく彼の側近達もよくわかっていることだった。
「もうどうにもならない」
「連合が止まらない限りは」
「どうしようもないですか」
「一が五になり五が二十五になる」
 じゃバルはこうも言った。
「百が三百になり九百になる」
「そこまで伸長が速いとですね」
「若しかするとですね」
「追いつけるかも知れないですか」
「そうも思うが時間は相当にかかる」
 それでもというのだ。
「エウロパが連合より上に立つことは非常に難しく」
「彼等の考える正しい姿に戻ることも」
「それもですね」
「非常に困難だ、帝国主義の様な状況はだ」
 エウロパが人類を主導する状況だ、あの国では帝国主義時代はそれが完成し機能的に動いていた時代だったのだ。
「まずない」
「そうですか」
「彼等の時代はまずない」
「そうなのですね」
「植民地なぞ持てる筈もない」
 こうもだ、ジャバルは言った。
「あの時代のエウロパは確かに圧倒的だった」
「大航海時代から多くの植民地を得て」
「そして産業革命を経てですね」
「多くの富と技術を持っていた」
「特に軍事力を」
「だから世界を支配出来たのだ」
 帝国主義時代を迎えられたというのだ。
「資本主義も発達してきていたしな」
「そして産業も栄え」
「そうした状況だったからですね」
「エウロパはあそこまでなれた」
「世界を支配出来ていましたか」
「そうしたものがあったからだ」
 富と技術がというのだ、簡単に言えば。
「他の文明圏を圧倒するな、しかしだ」
「今の彼等にそれはなく」
「将来もそこまでのものは手に入れられない」
「だからですね」
「帝国主義時代再びとはならないですね」
「遠い夢想だ」
 こうもだ、ジャバルは言った。
「最早な」
「そうしたものであり」
「エウロパの夢は夢ですか」
「夢に終わる」
「そうしたものですか」
「数百年はない」
 エウロパが連合を越えることはというのだ。
「もっとも数百年の間に人類の社会がどう変わっているか」
「それはですね」
「誰にもわからない」
「結果としては」
「今ある国家が存在しているか」
 数百年後にというのだ。
「それもわからないな」
「はい、連合もエウロパも我々も」
「ひいてはサハラもです」
「どの国もどうなるか」
「数百年経てばわかりません」
「連合、エウロパ、マウリアは千年ありましたが」
 サハラは戦乱の中多くの国家が生まれ消えていっているのでまた別だ。 
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