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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその三十一

「市場を解放する」
「我々のそれもですか」
「そうされますか」
「それを考えている、我々は人類最大の市場には進出出来ない」
 連合のことだ、四兆の人口を持ち豊かな生活を送るこの国はというのだ。
「それならだ」
「他の市場ですね」
「マウリアの市場だけでなく」
「サハラにも進出して」
「そして利益を得ますか」
「そうする、利益を得ることにはだ」
 まさにというのだ。
「貪欲であれだ」
「このエウロパの為に」
「あえてですね」
「そうする、だがそちらで利益が出るのは先だ」
 今すぐではないというのだ。
「だからだ」
「今はですね」
「国債を発行してですね」
「予算を回す」
「そうしますか」
「そうだ、それに国債はだ」
 それ自体の話もだ、ギルフォードは話した。
「返せるな」
「国家が発展すれば」
「その時に」
「そうだ、連合への戦時賠償の支払いも今は順調だ」
 こちらも何とか進めてきているのだ。
「ならだ」
「ここは、ですね」
「さらにですね」
「あえて国債を発行し」
「手に入れていきますか」
 二人もここでようやく軟化した、そのうえでギルフォードに応えた。
「積極的に」
「そうしていきますか」
「そうだ、むしろ今借り入れないとだ」
 国債、それをというのだ。
「政策が行えない」
「今政策が行えないと」
「明日生きることが出来ない」
 ギルフォードはフェルゼンに答えた。
「そうだな」
「はい、確かに」
「今の国債を惜しんで明日死ねば何もならない」
 言いつつもだ、ギルフォードはハーブティーを飲んでいく。緊張してはいるがそれだけの余裕は今も存在しているのだ。
「だからだ、いいな」
「わかりました、では」
「私達もです」
「その様に致します」
「国債発行を支持します」
「閣議でも出す」
 この話をというのだ。
「そのうえでだ」
「決定のうえですね」
「そうしてですね」
「マウリアでの諜報網とですね」
「軍事費も」
「国債から調達する、だが」
 ここでだ、ギルフォードはこうも言った。
「軍事費だが」
「それはです」
 フェルゼンが応えた。
「必要なのは事実ですが」
「支出だけだ」
「それは返ってきません」
 国家の収益にというのだ。
「ですから」
「軍が整えばな」
「それを見計らってですね」
「民間産業に移管させていく」 
 その軍需産業をというのだ。
「次第にな」
「そうされると有り難いです」
「先の戦役で軍隊はかなりのダメージを受けてしまった」
 総戦力の三割を失った、実は将兵の戦死者は少なかった。ただし戦傷者はかなり多かった。そうした意味で軍人の損失即ち人的被害は少なかったのは彼等にとって不幸中の幸いだった。しかし不幸中の、だ。 
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