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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその二十四

「これまで以上にな」
「そうされますか」
「そしてマウリア国民達にだ」
「協力者をですね」
「これまで以上に増やすことだ」
「そして彼等に連合にも接触してもらう」
「ダブルスパイになってもらうが」
 しかしだった。
「相手は選ぶべきだ」
「信頼出来る者を使う」
「いや、信頼出来ない者もだ」
 ギルフォードはその目をさらに強くさせて言った。
「使う」
「そうした者も」
「信頼出来るものはそのままダブルスパイになってもらうが」
「信頼出来ない者は」
「ピエロになってもらう」
 そうした者にというのだ。
「こちらの情報をあえて連合に流すな」
「偽の情報をですね」
「そうしてもらう、駒はあればあるだけいい」
「奇麗な駒だけでなく」
「汚い駒も使うがだ」
「その汚い駒にはですね」
「ピエロになってもらう」
 こう言うのだった。
「彼等にはな」
「そして連合を攪乱しますか」
「連合は愚かではない」 
 ギルフォードは彼等を侮ってはいなかった、その大衆社会は馬鹿にしていても能力自体は認めているのだ。
「気付けばだ」
「対策を講じてきますか」
「すぐにだ、だからだ」
「ここは、ですか」
「連合に偽の情報も流しだ」
「攪乱してですか」
「隠す」
 そうするというのだ。
「そちらもする」
「左様ですか」
「そして諜報網が完成したならば」
「連合の情報を集めますか」
「そしてマウリアもだ」
 この国のものもというのだ。
「あの国自体もだ」
「マウリアもですか」
「特にジャバル副主席だ」
 彼もというのだ。
「あの人物をマークする」
「アウトカースト出身の」
「エウロパに欲しい」
「あの御仁を」
「私の片腕、いや」
 ギルフォードはここでこうも言った。
「後継者に欲しい」
「そこまでお考えですか」
「二十代だ、しかもだ」
「これまで以上にですね」
「伸びる、それならばだ」
「閣下の後継者にもですか」
「したい位だ」
 ギルフォードはジャバルを高く評価していた、それ故での言葉だった。
「是非な」
「エウロパにいれば」
「それが残念だ」
「しかしあの御仁は」
「アウトカースト層出身だな」
「エウロパで言いますと平民出身ですが」
「平民でもだな」
「ブルーカラーのスラムから出た」 
 エウロパにもそうした場所はある、十九世紀のロンドンで言うのならダウンタウンとなるであろうか。
「そうした人物になりますね」
「それに対して私は貴族だからか」
「それも侯爵の爵位を持たれている」
 貴族の中でもかなり高い爵位だ。 
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