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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその二十五

「そうした方ですが」
「その私がスラム出身の者を取り立てる」
「そうなりますが」
「それでも構わない」
 ギルフォードの返事は即座に出された。
「そうした者でも能力があればな」
「それで、ですか」
「私は用いる」
「能力があればですか」
「それに相応しい地位にな、そしてだ」
「あの副主席殿はそれに相応しいですか」
「私の後継者にな」 
 即ち次の総統にというのだ。
「そう思うからだ」
「出身は関係ないですか」
「彼は総統になれる」
 エルロパではというのだ。
「まさにな」
「そこまでの方ですか」
「そうだ、だが彼はマウリアの者だ」
「そしてそれが為に」
「こちらに入られない」
 エウロパにはというのだ。
「残念ではある、しかしだ」
「残念に思ってもですね」
「仕方がない、ギリシアの神々も北欧の神々を選ばなかった」
 こうもだ、ギルフォードは言った。
「当然ヤハウェもな」
「どの神もですね」
「彼をエウロパにな」
「選んだのはヒンズーの神々ですね」
「そうだ」 
 そちらの神々だというのだ。
「そちらに選ばれた、ならな」
「こちらはどうしようも出来ないですね」
「人間の出来ることなぞ所詮限られている」
 何処か達観してだ、ギルフォードはこうも述べた。
「人間がどの国に生まれ何を為すかといったことはな」
「出来ないですね」
「人間は小さいものだ」
 神々と比べればというのだ、尚ギルフォードの信仰はキリスト教は国教会であり北欧はオーディン、ギリシアはゼウスを信仰している。
「所詮な」
「それが為に」
「彼がエウロパに生まれなかったのは残念だが」
「悔やんでも仕方ないですね」
「残念がってもな」 
 そうした感情を抱いてもというのだ。
「どうしようもない」
「そういうことですね」
「そして彼がマウリアにいるということはだ」
「同盟国ですが」
「しかしですね」
「時として敵にもなる」
 そうした風になるというのだ。
「彼はな」
「そこが難しいですね」
「全くだ、だが動きをよく見てだ」
「そうしてですね」
「手を打っていきたい」
 ジャバルに対してもというのだ。
「彼もな」
「そのこともあってですね」
「マウリアへの諜報活動も行う」
「そうされますか」
「連合だけでなくな、そしてサハラにもだ」
 この国にもというのだ。
「諜報を行う」
「あの国にもですか」
「サハラの総督府はなくなった」
 まさに土地ごとだ、移住していた百億のエウロパ国民も全て連合まで立ち退いた。シャイターンは彼等が立ち退く間は一切攻撃をしなかったからそれも出来たのだ。
「そしてモントローズ要塞を中心とした国境はだ」
「最早完全に遮断されていています」
「だからエウロパからサハラに入るのは難しい」
「通信でさえも」
 つまりサイバー攻撃による情報収集も困難だというのだ。
「だからですね」
「マウリアからだ」
「サハラにもですね」
「情報収集を行う」
「必要とあれば工作も」
「そちらも行う」 
 こう言うのだった。 
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