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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその四

「今日は」
「お薬ですか」
「毒ガスにも変えられるな」
「ああ、毒ガスもですね」
「わしは好きだからな」
 こうした危険物の開発、製造自体がというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「今から造ってみる」
「そうされますか」
「サリンの様なものをな」
 博士が考えている毒ガスはこちらだった。
「毒ガスにした時は」
「じゃあ液体の時は」
「青酸カリの様なな」
「あの、青酸カリは」
 こちらの様なものと聞いてだった、野上君は博士に少し怪訝な顔になってそのうえでこうしたことを言った。
「熱したら」
「効果がなくなるのう」
「そこは、ですね」
「無論熱してもな」
「毒の効果は変わらない様にですか」
「しておく」
 そこはというのだ。
「あくまでその様なものでじゃ」
「忠実にはですね」
「造らん、そのままを造っても面白くない」
「面白いかどうかですね」
「わしの基準はな、それでじゃ」
 今回もというのだ。
「青酸カリやサリンの様な」
「そうしたものを造って」
「楽しもう」
「それ使用されないですね」
「完成したら試しに暴力団の事務所に使う」
 博士は野上君に平然とした顔で答えた。
「そうする」
「って使われるんですか」
「一般市民や軍隊には使わん」
「けれど使われますよね」
「小悪党を幾ら殺してもいいであろう」
 しれっとした返事だった。
「特に」
「博士いつもそう仰いますけれど」
「わしは人命はどうでもよい」
「小悪党の命はですね」
「そんなものはどうかと思ったことはない」
 二百億年の人生の中で一度もだ。
「それこそな」
「そうですか」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「完成したら使う」
「そうされるんですね」
「どういった効果があるか見なければな」
「実験ですね」
「これもわしの楽しみじゃ」
 生体実験、それもというのだ。
「だからじゃ」
「それでヤクザ屋さんやチーマーが死んだ分ですね」
「街も奇麗になるであろう」
「それはそうですけれどね」
 野上君もこのことは否定しなかった、実際にこうした連中がいなくなるとそれだけ世の中も平和になるし街も奇麗になる。
「ですが犯罪ですよね」
「わしに法律は無意味じゃ」
 それも全く、という返事だった。
「気にせんわ」
「博士はそうですよね」
「だからじゃ」
「完成したらですか」
「毒ガスにしてな」
「ヤクザ屋さんの事務所にでもですか」
「撒布してその辺りのチーマーでも捕まえて」
 そうしてというのだ。 
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