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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその三

「中三の頃は」
「そうであったか」
「まあそれでも得意なのは理系で」
「数学もわかるのう」
「というか理系は数学が出来ないと」
 それこそというのだ。
「どうにもならないですね」
「その通りじゃ」
「ですが博士の公式は」
「数百年数千年先じゃ」
 人類のもっと言えば連合のそれをだ。
「その時代のものじゃ」
「そんなのですから」
「全くわからんな」
「はい、そしてそれはですね」
「代々の助手諸君もじゃ」
 野上君だけでなくというのだ。
「そうなのじゃ」
「つまり博士の犯罪にもですね」
「雇われているだけでな」
 そして助手としているだけでというのだ。
「全く関わってないからな」
「だからですか」
「一切じゃ」 
 それこそというのだ。
「罪に問われぬ」
「そうなんですね」
「だから安心するのじゃ」
「まあ実際普通に暮らしてますけれどね」
 先日も友人と焼き肉を食べた、野上君はそのことを思い出しながらそのうえで博士に話した。その言葉は真面目なものだった。
「それも幸せに」
「それは何よりじゃ」
「はい、そうしています」
「それで留守の間は何かあったか」
「特に何もなかったです」
 そうだったとだ、博士に答えた。
「これといって」
「連合軍は来なかったか」
「はい、全然」
「時々来るからのう」
 博士が何をしでかすかと警戒して監視する為だ。
「しかしか」
「はい、最近はです」
「そうか、しかし来たらな」
「その時はですか」
「遊ぶか」
 そうしようと言うのだった。
「またな」
「またですね」
「軍隊と戦うことも面白い」
 こうしたこともは変えの趣味の一つなのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「左様、軍隊が来たらな」
 その時はというのだ。
「楽しむぞ」
「そういえば最近連合軍とは戦っていないですね」
「うむ、あっちも来ぬからのう」
「だからですね」
「それならな」
 博士としてもだった。
「戦うこともない、わしから行ってもいいが」
「そうした気分でもないですか」
「これといってな」
「だからですね」
「なら他のことをして楽しむとしよう」
 こう野上君に話した。
「いつも通りな」
「それで何をされるんですか?」
「薬の開発をするか」
 博士が今しようとするものはそちらだった。 
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