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八条学園騒動記

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第五百四十一話 研究室に戻ってその十

「幾ら猫でも」
「二十四時間か」
「うむ、飯を食ったりトイレに行くであろう」
 生きていればというのだ。
「そうであろう」
「それはな」
 実際にとだ、ライゾウも答えた。
「言われてみればな」
「寝ていても腹は減ってな」
「トイレにも行きたくなるな」
「ではじゃ」
「一日全部寝ることはか」
「流石に非現実的じゃ」
 そこまで寝ることはというのだ。
「まさにな」
「それもそうか」
「まあ二十時間が限界かな」
 タロはこれ位だと話した。
「一日のうちで」
「二十四時間のうちでな」
「そうだよね」
「二十時間でも相当じゃ」
 犬や猫でもとだ、博士は述べた。
「やはりな」
「そういうものだね」
「アインシュタインは一日十二時間寝ておった」
 半日である。
「これは人間としてはかなり多い」
「だよな、博士は八時間でな」
「結構な時間だし」
「それじゃあな」
「十二時間はね」
「相当なものじゃ、それ位寝てじゃ」
 そのうえでというのだ。
「素晴らしい実績を残した」
「相対性理論か」
「凄いものを残したね」
 この時代の学問にも影響を及ぼしている、それだけのものを人類に残してくれた科学者として知られている。
「その元はだね」
「十二時間も寝たことなんだ」
「とにかく寝ることじゃ」
 何としてもというのだ。
「よいな」
「おいら達にしても」
「そうしないと駄目だね」
「左様、それで野上君もな」
 博士は自分の助手の話もした。
「寝る様に言っておる」
「無理をしないでか」
「どんな状況でも」
「博士が何を造っていても」
「それでもだね」
「わしも寝ておるのじゃ」
 開発者自身がというのだ。
「それで助手の野上君が起きるなぞな」
「ないってことだな」
「そんなことは」
「そうじゃ、しかと寝てじゃ」
 そうしてというのだ。
「また明日じゃ」
「頑張ればいい」
「そういうことなんだ」
「徹夜までせずに」
「寝てまた明日」
「それでよい、明日がある」
 博士はあえて前向きな言葉を出した。 
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