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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その三十一

「カリーやシチューの様に」
「それがマウリアか」
「もっと言うとカリーでしょうか」
「まさにマウリアだな」
「はい、カリーですから」
 ジャバルはまた言った。
「そうなりますね」
「そうだな、マウリアはカリーか」
「多くのスパイスと食材を使った」
「そして全てが混ざり合っている」
「そうした混沌にありだからこそ深い味がある」
「その味がマウリアの素晴らしさか」
「そう考えています」
 実際にというのだ。
「マウリアとは何かといいますと」
「そしてそれに気付いてか」
「私は政治家を志しました」
「そのマウリアをよりよくしたい」
「私がしてみせると思い」
 そう決意してというのだ、連合から帰った時に。
「そして今です」
「この場にいるな」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そしてここからです」
「さらにだな」
「私は先に進みます」
「それはわかった、しかしだ」
「先に進のならですね」
「君の目の前にある障壁も認識しているな」
「既に」
 冷静な目でだ、ジャバルはクリシュナータに答えた。
「そのつもりです」
「それは何よりだ」
「暗殺もですね」
「政治的な失脚もだ」
「目論む輩もいますね」
「私に対してもだ」
 ジャバルだけでなくクリシュナータにもとだ、彼は自分のことも話した。
「動きがある」
「陰で、ですね」
「君達を社会に組み込んだことでな」
「カーストに反するからですね」
「アウトカーストは社会から除外すべきだと考えてな」
「これまでの様にですね」
「そうした考えに基づきだ」
「閣下のお命もですか」
「狙おうとしてい」
「では今も」
「スキャンダルや失言のあら探しをしているかだ」
「暗殺をですか」
「今飲んでいる紅茶にもだ」
 ごく普通に口にしているこれにもというのだ。
「毒見をしていないとだ」
「飲めないですね」
「君もではないか」
「はい、毒見は常にです」
「置いているな」
「そうしています」
「それがいい、ことを成そうとするならだ」
 そう考えるならだというのだ。
「まずは身の周りは確かにしておくべきだ」
「さもないとですね」
「ことを成す以前にだ」
「倒れてしまいますね」
「能力があっても軽率が為に滅んだ者は多い」
 古今東西だ、無論マウリアでもだ。
「足元や後ろにも注意しないとな」
「しくじりますね」
「政治の世界では特にそうでありだ」
「民主政治においては」
「むしろ宮中において以上かも知れない」
 政治がそうした場所を軸に動いていた形式や時代と比べてというのだ。民主政治というよく賛美されている政治社会においては。
「政治家の急死や降って湧いたスキャンダルはな」
「枚挙に暇がありませんね」
「特に後者がだ」
 それがというのだ。
 
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