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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その三十

「二十数年で」
「ゼロになった状況からそこまでなったな」
「敗戦直後の日本はまさにゼロでした」
 そこまでの惨敗だった、終戦直後は最早希望も何もなく復興なぞ出来るものではないと言う者さえいた。
「しかしそこからでした」
「あそこまでの国になった」
「そうです、そしてカルタゴも滅びましたが」
「あの国も復興したな」
「第二次ポエニ戦争でカルタゴという都市だけになりました」 
 まさにその都市だけだ、国外の勢力圏も力の象徴だった海軍も失いだ。
「しかしです」
「あの国も復興したな」
「僅かな間で、そして」
「確かローマへの賠償金をだな」
「数十年分を一括払いしたいとまで言う様になりました」
 そしてローマ側を驚かせたのだ、その復興や発展の足枷にする為の賠償金を一括払いしたいと言われてだ。つまりそれはカルタゴにそこまでの力が戻ってきたことを意味するからだ。多額の数十年分の賠償金を一度に払えるまでに。
「その復興からの発展があまりにも凄くローマに警戒され滅ぼされましたが」
「そうなったな」
「最後の戦争で」
 第三次ポエニ戦争でだ。
「そうなりましたが」
「数十年の間にか」
「国家は急激に発展することも可能です」
「マウリアも然りだな」
「しかも日本やカルタゴはゼロからでしたが」
「我がマウリアは違うな」
「はい、既に地盤があります」
 発展の為のそれがというのだ。
「後は国内に革命を起こします」
「君がだな」
「無血革命を」
 まさにそれをというのだ。
「起こしそして」
「そのうえでだな」
「この国をあらためてです」
「力を出しやすい国家にしてか」
「私が一気に育てます」
 マウリア、この国をというのだ。
「まさに」
「そこまで考えているとはな」
「かつて連合を旅してわかりました」
「連合の豊かさと社会をか」
「そしてマウリアの素晴らしさをです」
「我が国の素晴らしさもか」
「知りました」
 実際にというのだ。
「マウリアは無意識です」
「人間の中にあるか」
「はい、そうした国です」
 こうクリシュナータに話した。
「混沌としていますが」
「その混沌の中にだな」
「えも言われぬ素晴らしさがある」
「人の無意識の様にだな」
「ですから離れられません」
「だから君は政治家になったか」
「はい」
 まさにというのだ。
「連合から帰ったうえで」
「そうだったのか」
「連合は確かに豊かですが」
「あの国も混沌としていますが」
「はい、しかしサラダの様な」
 ここでジャバルは料理に例えた、連合やエウロパでよく食べられているがマウリアでも食べられている。
「そうしたものかと」
「連合の混沌はか」
「そのなかに様々なものがありますが」
「それでもだな」
「一つ一つは分かれていてです」
「混ざり合っていないか」
「混ざり合っている様で」
 それでもというのだ。
「一つ一つが自己主張をしていてです」
「混ざっていない」
「そうした国です。しかし我がマウリアは」
「混ざっているか」
「その一つ一つが、そしてです」
「そのうえでか」
「一つの国になっています」
 ジャバルはこうも言った、ここで。
 
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