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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その三十二

「多いな」
「民主政治にはスキャンダルは付きものだ」
「そしてその中にはですね」
「そうだ、策略も多い」
 どうして出て来たか、その経緯は不明であるがというのだ。
「政敵のな」
「そうしたものですね」
「そしてこのことはだ」
「暴くよりもですね」
「暴かれる方が悪い」
「最初からそうしたことをしないか」
「しても徹底的に隠すことだ」
 隠蔽、それを行うべきだというのだ。
「志を果たしたいのならな」
「絶対にですね」
「そうしたものは隠す」
「はい、そして私はです」
「最初からだな」
「スキャンダルの類はしていません」
 絶対の自信を以てだ、ジャバルは言い切った。実際に彼は金銭でも異性でもそうしたことはしていない。
 そしてだ、ジャバルはさらに話した。
「側近や同志達にもです」
「それはだな」
「徹底させています」
「清潔な者ばかりではないと思うが」
「はい」
 このことも認識している返事だった。
「そうした側近達もいます」
「そうだな」
「同志達も、しかし」
「資質を見てか」
「資質を第一に考えています」
 人災の登用、それはというのだ。
「登用と活用には、しかし」
「清潔でない人材はだな」
「そうしたことは隠蔽させています」
「徹底的にだな」
「閣下の言われる通りです」
 それはまさにというのだ。
「スキャンダルは暴かれる方が悪いです」
「その通りだ」
「先程閣下た言われた通りです」
「スキャンダルは暴かれる方が悪い」
「最初から作らないか」
「作れば誰にも見付からない様にする」
 このことは実は連合において特に顕著だ、民主政治というものはスキャンダルの暴き合いという一面もあるのだ。
「さもないと公になりだ」
「イメージダウンになり、ですね」
「人気が落ちる」
「政治家として」
「民主政治において政治家は人気商売だ」
 この現実もだ、ジャバルは口に出した。
「人気が落ちると終わりだ」
「それだけで」
「そして清潔さはだ」
「ひいてはスキャンダルを隠せる頭のよさもですね」
「選挙民は見ている」
「その通りですね、彼等も愚かではありません」
 投票する国民達もというのだ、マウリアにおいては国民となるが連合では市民と呼ばれている。エウロパでは貴族と平民をまとめて市民と呼ぶ。
「しっかりと見ています」
「スキャンダルを隠せない政治家なぞだ」
「資質も知れています」
「だからだな」
「はい、彼等にはそれを徹底させています」
「そしてそれが出来る様な人物でないとか」
「登用していません」
 そして活用もしていないというのだ。
「そうしています」
「その言葉信じさせてもらう」
「はい、そうされて下さい」
「しかし若しスキャンダルがあればだ」
「私は窮地に陥りますね」
「下手をすればまさにだ」
「失脚ですね」
 ジャバルは自分から言った。
 
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