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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その二十九

「ですがこの茶がです」
「君にとっては最高の茶か」
「そうなのです」
「そこを飾るつもりはないか」
「一切」
「カリーと共にだな」
「私はこうした欲はありません」 
 こうした類の贅沢はというのだ。
「食事、茶についても」
「飾らないか」
「しかし国家には違います」
「今のままで満足してもらわず」
「これ以上はないまでの贅沢を知ってもらいます」
 彼等の国マウリアにはとだ、クリシュナータは笑って言った。
「素晴らしい国になってもらい」
「そのうえでだな」
「幸福もです」
 これもというのだ。
「知ってもらいます」
「マウリアがこれまで知らなかった様な」
「はい、最も富み最も強い国にいるという」
「人類社会のだな」
「一国で、もっともです」
「マウリアは国単位ではな」
「人類最大の国です」
 連合やエウロパの中の各国家を一国と見た場合はだ、マウリアは人類社会の中で人口も総生産も最も大きな国である。
「この度のことでそうなりました」
「連合のどの国よりもだ」
「人口も総生産も寄せ付けない」
「そうした国になった」
「しかしです」
「これまで以上にだな」
「はい、技術を進歩させてです」
 そしてだった。
「階級もです」
「宗教が関わらない限りではだな」
「政教分離も進め」
 またこの話になる、連合やエウロパの様なというのだ。
「そしてです」
「適材適所、有能な人材がその相応しい場所で力を発揮出来る様にだな」
「変えていきます」
 ジャバルにしても敬虔なヒンズー教徒だ、確かにアウトカースト層であるが確かな信仰は備えているのだ。
「そしてです」
「マウリアという国にか」
「最高の贅沢と幸福をです」
 その両方をというのだ。
「堪能してもらいます」
「そうしたいのだな」
「私自身は贅沢に興味はありません」
「今のままで充分か」
「はい、今の様な食事や生活で」
 至って質素なそれでというのだ。
「しかしマウリアという国はです」
「国民の全てもだな」
「贅沢と幸福をです」
「堪能してもらいたいか」
「そう考えています」
 実際にというのだ。
「その様に」
「成程な」
「連合の様な、いえ」
 ジャバルはここで己の言葉を言い換えた、そして出した言葉はというと。
「連合以上のです」
「そこまでのか」
「生活を送れる様にです」
「したいか」
「かつて日本は大戦に敗れました」 
 第二次世界大戦だ、この戦争で固まった秩序が長い間国際情勢を形成していた。宇宙の時代になるまではおおむねそうだった。
「しかしです」
「廃墟からな」
「立ち上がりそしてでした」
「世界でトップクラスの大国になったな」
「豊かな国になりました」
 文句なしにこう言える国にというのだ。
 
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