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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その二十三

「君にはそうしてもらいたい」
「ではお言葉のままに」
「是非な、しかし」
「しかしとは」
「君の食事だが」
 ここでだ、クリシュナータはジャバルの食事を見た。見ればクリシュナータは連合のカレーの一つであるシーフードカレーを食べているが。
 ジャバルは至って質素なカリーだ、野菜カリーだ。しかも御飯も使っているスパイスも質素だ。クリシュナータはそのカリーを見てジャバルに言った。
「質素だな」
「これがアウトカーストの料理です」
「君達のカリーか」
「そうです」
「何を食べてもいいと言ったが」
「好きなものをですね」
「それがか」
 ジャバルにだ、クリシュナータは彼の言葉を受けて述べた。
「君の好きなカリーか」
「そうです」
「かなり質素な野菜のカリーだが」
「これが実にです」
「いいのか」
「はい、これをよく食べています」
「カースト層のカリーとはまた違うな」
 ジャバルはそのカリーを見つつこう述べた。
「しかしそれでもか」
「これが実にです」
「美味くか」
「よく食べます」
「カースト層の食事は口にしないか」
「はい、そして勿論牛肉もです」
 ヒンズー教で口にすることが禁じられているこれもというのだ。
「食べていません」
「やはりそうか」
「はい、そして」
「他の食事もか」
「アウトカースト層のものだけです」
 あくまでというのだ。
「食事は」
「資産があればこっそりとでも食べられると思うが」
「連合の料理もですね」
「牛肉は別として連合の料理はカーストには抵触しない」
 マウリア独自の考えによる、ヒンズー教の料理ではないがこちらはそれだからこそ牛肉以外はどのカースト、アウトカーストでも食べていいというのだ。
「一切だが」
「それでもです」
「連合の料理もか」
「はい、基本口にしません」
「魚介類もか」
「嫌いではないですが」
「そうか、わかった」
 ジャバルの食事の嗜好がとだ、クリシュナータは理解した。
「やはり君は質素だな」
「自分の望む様にしています」
「服も家もだな」
「調度品もです」
 こちらもというのだ。
「そうしています」
「質素か」
「贅沢にしていても」 
 それでもというのだ。
「この人生だけのこと」
「輪廻の中ではか」
「小さなものに過ぎません」
 この時代ではアウトカースト層も転生すると考えられている、時代によってはそうは考えられていない時代もあるがだ。
「所詮は」
「確かにな。人の一生はだ」
「ほんの一瞬です」
「この宇宙自体がブラフマー神の一日だ」
「創造神の起きている間だけです」
 それだけのことに過ぎないからだというのだ。
「そこで栄華を求めても」
「些細なもの」
「ですから」
 こう考えているからだというのだ。
 
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