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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その二十二

「彼もヒンズー教徒だ」
「それならばですね」
「これは出来ない」
「カースト制度をなくすことは」
「新たな信仰を起こすなら別だが」
「それは」
「宗教は政治以上に難しいものだ」 
 政治と密接に関わることも常だった、近代国家は政治が宗教から如何に離れるかということを考えたものでもあることにそのことが出ている。
「まして一朝一夕に社会は変わらない」
「新宗教を起こしても」
「イスラムの様な例もあるが」
 数十年でササン朝ペルシャまで滅ぼしアラブに大帝国を築いた、まるで蜃気楼の様に巨大な宗教が誕生した。
「それでも数十年でありだ」
「イスラムですから」
「イスラムですらだ」
 その数十年で大帝国を築いた宗教でもというのだ。
「マウリアではだ」
「主な宗教にはなりませんでしたね」
「砂漠の商人の宗教はマウリアはその手に収められなかった」
「文化、文明、風俗、習慣があまりにも違い」
「その結果だ」
「マウリアではイスラムは主な宗教になれませんでしたね」
「ヒンズー教の牙城は崩せなかった」
 そうだったのだ、この時代でもだ。
「そして今もだ」
「マウリアにヒンズー教に代わる宗教はないですね」
「マウリアから出ることは殆どないが」 
 ヒンズー教、この宗教はだ。
「しかしだ」
「マウリアにおいては」
「このことは変わらない」
「だからあの御仁でもですか」
「それは難しい」
 どうしてもというのだ。
「政治以上にな、しかも彼はだ」
「政治家であり」
「宗教家ではない」 
「そのこともありますね」
「だからだ、これは別の話だ」 
 カースト制、それへのことはだ。
「またな」
「カースト制は、ですね」
「そうしたことだ、だが」
「それでもですね」
「彼は間違いなく変える」
 マウリア、この国をというのだ。
「このことは間違いない」
「だからこそ期待されていますか」
「その通りだ、ではな」
「はい、私はこれで」
「またな」
「それでは」
 ザガールは挨拶をしてだ、そうしてだった。
 部屋を後にした、クリシュナータは一人になってだった。後は一人で仕事をしていった。そして次の閣議の後でだ。
 クリシュナータは密かにジャバルと共に食事を摂りつつだ、彼に話した。
「正式に決定した」
「私のことが」
「そうだ、副主席にすることがな」
「それがですか」
「決まった」
 そうなったというのだ。
「後は議会だが」
「議会の承認を得られれば」
「君は副主席だ」
「そしてですね」
「私は君にかなりの権限を与える」
「副主席に相応しい」
「それを与えてだ」
 そのうえでというのだ。
「君には働いてもらう」
「私の好きにしていいでしょうか」
「権限の許す限りだ」
 副主席のそれがというのだ。
 
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