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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その二十一

「私もこれ以上はです」
「言わないのだな」
「そうします、では私はこれで」
「党の本部に帰るか」
「はい、そうして党の他の方々とお話をします」
「後で私も行こう」
 党本部、そこにというのだ。
「そして話をしよう」
「そうされますか」
「是非な、しかし我がマウリアもだ」
「我が国もですか」
「英雄を持った様だな」
 その目に強い光を宿らせてだ、クリシュナータはこうも言ったのだった。
「連合、サハラ、そしてエウロパに続いて」
「彼等と共に」
「英雄を得た、それは間違いない」
「あの御仁ですか」
「そうだ、英雄は必要な時に現れる」
 その国がだ、クリシュナータがこう言って出した名前はというと。
「ユリウス=カエサルがそうだったな」
「古代ローマの」
「彼が世に表れた時ローマは混迷の時を迎えていた」
 平民派と元老院派が衝突していた、内乱の一世紀と言われるローマの中で争いが起こり血生臭い状況にあった。そのローマも内戦で多くの血で塗れた程だ。
「そしてそれがまだ続きだ」
「ローマはどうなるか」
「それがわからなかった時代でしたね」
「平民は力を持ち領土は拡大していて統治システムのことでも問題が生じていて」
「果たしてローマはどうなるのか」
「わからなくなっていましたね」
「それで彼が出た」
 世にだ、それまでは元老院派に敵視されてローマを出たり弁護士として活動をしたりして生きていたのだ。
 しかしだ、当時では結構な年齢になって頭角を表してだ。
「執政官となり政治を行い」
「やがて、でしたね」
「政敵達を抑えてだ」
「ローマを本格的に変えていきましたね」
「当時の共和制では限界が見えてきていた」
 統治のそれにだ。
「しかしだ」
「そのローマをですね」
「帝政に変える土壌を作ってだ」
「そしてローマを変えましたね」
「共和制ローマはローマ帝国となった」 
 俗にそう言われる国になったというのだ。
「オクタヴィアヌスがそれを確固たるものにしたが」
「そうなった様にですね」
「英雄は然るべき時にだ」
「その国に出ますか」
「そして変える」
 その国自体をというのだ。
「それはマウリアでも同じだな」
「そうなりますね」
「そう考えている、それが彼だ」
「マウリアの英雄ですか」
「サハラから人類は大きく変わった」 
 これはサハラの戦乱が急激に終息に向かっていることからの言葉だ、この地域が統一に向かっていることを見てそれを強く認識しているのだ。
「そしてその変化がな」
「我がマウリアにも及びますか」
「そうなってきたのだ、だが」
「だが、ですか」
「カーストはなくならない」 
 これはというのだ。
「ヒンズー教が消えないとな」
「その限りはですね」
「変わらない、彼でもない。いや」
 自分の言葉をここで訂正した。
 
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