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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その六

「近頃我々は選挙で負け続けている」
「はい、上下の議会の補欠選挙でも」
「地方の議会選でもです」
「何かとですね」
「負けが目立っていますね」
「このままだと中央議会の下院選挙でもだ」
 それでもというのだ、マウリアの選挙の中で最も重要なそれもだ。
「負けるかも知れない」
「上院はかろうじて過半数を持っていますが」
「それも危うくなりますね」
「補欠選挙の結果では」
「上院の」
「それもある、だから保守派をだ」
 その彼等をというのだ。
「勢力を弱めることもしておきたい」
「では、ですね」
「彼等に次から次にと手を打ってですか」
「失脚させていき」
「勢力を弱めさせますか」
「そうも考えている、また言うが攻撃するならばだ」
 そうしてくるならばというのだ。
「攻撃されることを覚悟することだ」
「特に後ろや足元から」
「そうした場所から」
「これも連合でもよくある」
 実に、というのだ。身内同士で始終謀略が行われているこの国ではだ。
「自分が謀略を仕掛けてだ」
「かえってですね」
「自分が謀略に陥れられる」
「策略を仕掛けたつもりが策略を仕掛けられる」
「そうなることもですね」
「常だ」
 そうした国なのだ、謀略は何処から誰から仕掛けられるかわからない国だ。所属している組織が同じでも政敵であれば争うこともあるが連合もまた然りだ。
「彼等はそのことを思い知るだろう」
「自分達の失脚と共に」
「そのことをですね」
「閣下に謀略を仕掛けようとして」
「そうして」
「そうだ、蜘蛛は罠を張るが」
 自身の巣だ、これはクサグモやジョロウグモだけでなくジグモも同じだ。
「その罠を見せているとは限らない」
「そうですね」
「相手に気付かれない様に仕掛けることも多いですね」
「まさかという場所にあったり」
「見えない場所にも」
「私自身は見えているがだ」
 相手、つまりクリシュナータをというのだ。
「罠は見えているか」
「それですね」
「そして罠は一つとは限らない」
「そういうことですね」
「そのことを知ることになる」
 ここでまた紅茶を飲んだ、その美味さを楽しんでからまた述べた。
「失脚してからな」
「では既に罠も」
「用意されていますか」
「それは言わないでおこう」
 ここは笑って言うだけだった。
「わかるな」
「はい、壁に耳ありですから」
「そして窓に目ありです」
 障子ではないのがマウリアだ、これはあくまで日本のものだ。
「だからですね」
「これ以上は言われない」
「そうされるのですね」
「そうする、しかし私は座すことはしない」
 決してというのだ。 
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