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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その三十八

「しかしそれ以上にだ」
「連合国の物量にですね」
「敗れた」
「残念ですが我が国は物量について然程でした」
 グリモワールはフランスのことを話した、彼の祖国のことを。
「しかしです」
「残りの主要国達は違った」
「特にアメリカは」
「国力において彼等を圧倒していた」
「そしてその国力で、ですね」
「ドイツも日本も敗れた」
「連合はまさにその連合国ですね」
 グリモワールはその群青色の目を顰めさせて言った。
「そうですね」
「奇しくも名前も同だ」
「連合ですね」
「正式名称は違うがな」
 連合は星間国家連合という、国際連合が発展した組織だ。
「同じだな」
「はい、連合です」
「そしてその連合を侮らないことだ」
「数、技術、物量を」
「犬も数を揃え武装させてたらふく食べて栄養があれば狼を圧倒する」
「狼の群れでも」
「犬でも勝てる」
 狼より格落ちとされる彼等でもというのだ。
「だからだ」
「それ故に」
「連合軍を侮ってはならない」
「決してですね」
「そうだ、我々は劣勢なのだ」
「そのことを常に念頭に置いて」
「卿にも励んでもらいたい」
 己の職務にというのだ。
「わかったな」
「それでは」
「規律を頼む」
「では」
「人類史上最も厳しい軍規軍律を誇る軍隊にするのだ」
 こうも注文を付けた。
「騎士道に基づくな」
「エウロパ伝統の」
「そうだ、我々は何だ」
「騎士です」
 グリモワールはモンサルヴァートに即答で答えた。
「まさに」
「では、ですね」
「その騎士道に基づきだ」
「軍規軍律をさらに正す」
「そうしていくのだ」
「妥協なくですね」
「エウロパ軍にない言葉だな」
 妥協と聞いてだ、モンサルヴァートはこう返した。
「そうだな」
「はい、ありません」
「ではだ」
「その様にしていきます」
「憲兵のことは任せた」
 それこそその全てをというのだ。
「それではだ」
「はい、そのうえで」
「正式な任命を前だが」
「今からその用意をですね」
「してもらう」
「その様に」
 後日ギルフォードも正式にグリモワールを憲兵総監に任命した。グリモワールはすぐに軍のさらなる風紀の厳正にかかった。
 エウロパ軍もまた革新していっていた、そして。
 訓練の時間も増えてだ、さらに精強な軍隊になっていっていた。ギルフォードもその状況を見て満足していた。
「いいことだ」
「はい、精強な軍隊はですね」
 副首相のアランソが応えた。 
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