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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その三十五

「迅速にな」
「それでは」
 ベルガンサも応えた、そして即座にだった。軍務省の中で人事の話が為され。
 一人の黒髪に群青色の目の岩の様な顔の大男がモンサルヴァートの前に呼ばれた。シャルル=ド=グリモワールという。フランスの有名な侯爵家の次男でありグルモワール伯爵家に婿入りして家を継いだ。陸戦部隊に憲兵隊での勤務が長い謹厳実直として知られる男だ。
 その彼が自分の前に来るとだ、モンサルヴァートはすぐに言った。
「卿に来てもらったのは他でもない」
「何でしょうか」
「卿を憲兵総監にしたい」
「私をですか」
「総統にそうお話する」
 人事権を持つ彼にというのだ。
「しかしだ」
「総統もですね」
「必ずよしと言われる」
 そう確信しているというのだ。
「卿ならばな」
「そしてですか」
「卿には今まで以上の軍の風紀の粛正にあたってもらいたい」
「今以上に」
「軍規軍律厳正あることはだ」
 まさにというのだ。
「精強な軍の第一歩だからな」
「それ故にですね」
「卿に憲兵総監になってもらいな」
「職務をですね」
「果たしてもらう」
 その風紀をさらに厳正にすることをというのだ。
「いいな」
「わかりました、では」
 グリモワールはエウロパ軍の敬礼をして応えた。
「謹んで拝命致します」
「その際はだな」
「その様に」
「卿は既に元帥だ」
 彼の階級の話もした。
「エウロパ戦役では見事だった」
「艦隊指揮は執っていませんが」
「ニュルンベルグ星系での防衛指揮のことは聞いた」
「あの戦いですか」
「卿は数に劣っていたが果敢に戦い終戦まで持ち堪えた」
「そのことがですか」
「見事だった」
 彼が上級大将だった時のことだ、そしてこの功績により元帥に任命されたのだ。
「今回は憲兵の仕事だが」
「そちらで、ですね」
「あの様な働きをしてもらいたい」
「それでは」
「卿は憲兵隊での勤務も長い」
 そして法務士官としての資質も評価されている、その法律の知識もだ。武闘派とされているがそれだけではないのだ。
「その力も借りたい」
「そこまで言われますか」
「是非な」
「わかりました、それでは」
「容赦することはない」
 その職務においてというのだ。
「徹底的にだ」
「行ってもいいのですね」
「軍規軍律をこれ以上はないというまでだ」
「厳正にですね」
「してもらいたい」
「そこまで、ですか」
「して欲しい。エウロパ警察の話は聞いたか」
 モンサルヴァートは彼等の話もした。
「リンク長官は規律を徹底させてもいる」
「軍隊の様にですね」
「そこまでだ」
「警察が乱れていては本末転倒ですね」
「その考えからだ、対抗意識ではないが」 
 モンサルヴァートはそれは否定した、彼は軍と警察をライバル関係にあるとは考えていない。完全に別組織だと考えているのだ。 
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