星河の覇皇
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第七十二部第四章 気付きだした者達その三十四
「実にな」
「では我々も」
「軍も同じだ」
「厳格な規律を以て誇りとする」
「そうしなければならない、だからだ」
「軍規軍律は厳格にしましたが」
「憲兵隊にだ」
軍の中の警察である彼等にというのだ。
「命じよう」
「チェックの徹底をですね」
「それも恒常的にだ」
「そうしていくのですね」
「そうだ、どうも私は憲兵についてはだ」
モンサルヴァートは真剣な顔になって言った。
「軍務大臣になるまではな」
「関係がありませんでしたか」
「艦隊のことは軍政はわかっていたがな」
これまでの軍務でだ、モンサルヴァートは艦隊勤務と地上での軍政の両方にあたってきたのだ。それでこの二つは知っている。
しかし軍政になるが憲兵を使うことはというのだ。
「こちらは知らない、それでだ」
「憲兵のことはですか」
「専門家に一任したい」
「憲兵のエキスパートに」
「そうしたいが」
「それはいいことかと」
ベルガンサはモンサルヴァートにすぐに答えた。
「やはり」
「そうか、ではだ」
「はい、然るべき方をです」
「憲兵の責任者にだな」
「就いてもらいましょう」
「憲兵総監は今空席だ」
モンサルヴァートはこのことも言った。
「私が兼任しているが」
「たまたまにしても」
「空席になり一週間だ」
「どちらにしろすぐにです」
「次の総監を決めなければならない」
「だとすればです」
「すぐにだな」
「はい、総監を決めましょう」
その彼をというのだ。
「そうしましょう」
「是非な」
「ですが憲兵総監が空席というのは」
「本来はな」
「はい、スクッド上級大将に元帥に昇進して頂いたうえでの就任となる予定が」
「上級大将が入院してしまった」
「癌で」
この時代では克服されているがやはり起こる時は起こる。
「入院しての治療が必要です」
「だからな」
「はい、上級大将は憲兵出身であり」
「憲兵畑を歩いてきたな」
「まさにエキスパートです」
その憲兵のというのだ。
「だから上級大将であれば」
「問題なかったがな」
「しかしです」
「癌になってはな」
「仕方がありません」
「病気は人も時も選ばない」
「全ては神々の思われることです」
つまり人間ではどうしようもないというのだ。
「ですから」
「仕方ないな」
「そうです」
どうしてもというのだ。
「癌ならば」
「一年は軍務に復帰出来ません」
「だから仕方がない、それでだ」
「新たな総監をですね」
「選ぼう」
こう言うのだった。
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